2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト側頭骨病理標本からレーザーキャプチャー・ダイセクションによる難聴遺伝子の抽出
Project/Area Number |
16659462
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
喜多村 健 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90010470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古宇田 寛子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80334423)
八島 隆敏 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (50372438)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 細胞・組織 / 神経科学 / 脳・神経 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
難聴遺伝子の同定により、難聴あるいは前庭障害を生じる内耳の障害部位と発症機序が明らかになりつつある。しかし、これらの難聴遺伝子により、ヒトの内耳組織にどのような病理変化が生じているかについては、不明の点が多い。今回の研究では、難聴遺伝子の局在と組織病理の両者を同時に検討するために、ヒト側頭骨の病理標本を対象にして、レーザーキャプチャー・ダイセクションにより特定の細胞を選択し、この細胞よりTaqMan PCR法による定量的PCRを行った。その結果、細胞レベルでの難聴遺伝子を抽出して、難聴遺伝子の変異とそれによる組織病理との関連を明らかとする。具体的には、ホルマリン固定セロイジン包埋の耳疾患のないヒト側頭骨標本の切片のセロイジンを除去、スライドグラス上に切片を貼り付け、このひとつの切片から、レーザーキャプチャー・ダイセクション(窒素レーザー使用のPALM Robot-Microbeamシステム)にて、感覚細胞、血管条、ラセン神経節、ラセン靭帯を採取した。採取した試料から、Puregeneキットを用いてミトコンドリアDNAを抽出し、定量的PCRにより増幅した。次に、ミトコンドリア遺伝子3243変異のヒト側頭骨標本を対象に、同様の操作にて、側頭骨内の組織内の遺伝子変異量を定量した。その結果、ラセン神経節は44%、球形嚢は39%と、変異率は高度であったが、予想に反して、血管条の遺伝子変異率は0.7%と低値であった。ミトコンドリア遺伝子3243変異では、ラセン神経節細胞と血管条の障害が高度である。本研究では、血管条の変異率が低値であり、血管条の障害は、二次的な障害の可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)