2004 Fiscal Year Annual Research Report
網膜性色素変性症RP9の原因遺伝子PAP-1の機能と診断マーカー,治療薬の確立
Project/Area Number |
16659469
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
有賀 寛芳 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20143505)
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Keywords | PAP-1 / 網膜性色素変性症 / スプライシング / 網膜細胞死 / スプライソソーム / Pim-1 / Prp3 / CIR |
Research Abstract |
PAP-1変異により網膜性色素変性症RP9が発症することが明らかになっているが、その作用機作は不明である。今年度、PAP-1はスプライシング調節因子であることを明らかにし、詳細に検討した。まず、PAP-1は複数の既存のスプライシング調節因子と複合体を形成することを免疫共沈殿法、密度勾配遠心法を使い明らかにし、その中には網膜性色素変性症の原因タンパク質として同定されたPrp3も含まれていた。更に、アデノウイルスmini-geneを用いたスプライシングアッセイ系を使用し、PAP-1のスプライシング調節機能はPim-1のリン酸化経路によって調節されること、RP9変異PAP-1はスプライシング調節因子と複合体の欠如、リン酸化制御を受けないことを明らかとした。また、以前に転写抑制因子として同定されていたCIRもPAPと複合体形成し、スプライシング調節能を有することを明らかとした。このように、PAP-1は網膜に発現する遺伝子のスプライシングを調節し、PAP-1変異によるスプライシング異常によって生じた異常タンパク質が網膜性色素変性症RP9の発症原因になると考えられる。このPAP-1のスプライシングターゲット遺伝子の探索のために、PAP-1発現ノックダウン細胞を樹立した。この細胞で新たに発現したタンパク質をコードする遺伝子がPAP-1のスプライシングターゲット遺伝子候補と考えられ、更に解析する予定である。
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