2004 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫の破綻に起因する眼表面炎症性疾患の存在の解明とその新しい制御方法の開発
Project/Area Number |
16659477
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
木下 茂 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (30116024)
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Keywords | 自然免疫 / 眼表面炎症 / 眼表面上皮 / IκB-ζ / モデルマウス |
Research Abstract |
常在細菌叢は、粘膜上皮を介し、自然免疫応答を中心とする広範な生体防御の維持に関与している。眼表面には、表皮ブドウ球菌、アクネ菌などの常在細菌の存在が知られている。我々は、眼表面に存在するこれら常在細菌が、眼表面炎症を惹起しない何らかの機構に関係すると考えている。我々は、NF-κB regulatorの一つであるIκB-ζをノツクアウトしたマウスで、眼表面に炎症がみられたのでこれを解析した。方法としては、IκB-ζ KOマウスの眼表面粘膜上皮層を経時的に組織学的に解析した。また、正常マウスの眼表面におけるIκB-ζの発現を検索するため、結膜、角膜組織のRNAをトリゾールにて抽出し、RT-PCRを行った。IκB-ζの組織内発現の局在は、432bpのジゴキシゲニン標識RNAプローブをもちいたin situ hybridizationにより検討した。 その結果、IκB-ζ KOマウスでは、正常マウスと比較して、眼表面上皮から結膜杯細胞が消失し、上皮内および上皮下に炎症細胞の浸潤が認められた。さらに、経時的観察で、炎症細胞の浸潤が、杯細胞の消失に先行することが判明した。次に、正常マウスの角膜、結膜組織において、IκB-ζ発現がRT-PCRによって確認された。In situ hybridizationによる解析では、IκB-ζの発現は、主に、角膜上皮、結膜上皮などの眼表面上皮層に局在して認められた。その発現は、小腸粘膜上皮、気管粘膜上皮においても認められた。NF-κBのregulatorの一つであるIκB-ζKOマウスで眼表面に炎症が生じることは、眼表面炎症制御にIκB-ζが深く関わっていることを示唆するものである。常在細菌叢の存在にも関わらず、正常マウスでは眼表面に炎症が生じない機構を今後解明する必要があり、研究を継続している。
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