2004 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織再生能を有するハイブリッドバイオマテリアルの開発、応用
Project/Area Number |
16659522
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小松 正志 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (10005069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 達雄 東北大学, 病院・講師 (20168826)
金田一 孝二 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (10010092)
兼平 正史 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (30177539)
小林 洋子 東北大学, 病院・助手 (50261524)
平田 政嗣 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (70312593)
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Keywords | 歯根膜 / コラーゲン / ポリ乳酸 / ポリグリコール酸 / 歯根膜由来線維芽細胞 / 立体培養 / ティッシュエンジニアリング / バイオマテリアル |
Research Abstract |
高齢者にみられる根面う蝕や歯根破折に対し、接着性レジンによる修復処置がなされているが、この方法だと天然歯根にみられる歯根膜組織の回復までには至っていない。そこで我々は、近年さまざまに試みられているバイオマテリアルに自己の細胞を応用したティッシュエンジニアリング技法を用いて新たな歯根修復バイオマテリアルの開発を目指している。本年度は特に歯根膜由来細胞と生体材料との関係ならびに立体培養の可能性について研究を行い以下の結果を得た。 1.コラーゲンスポンジ上での歯根膜由来線維芽細胞の培養 コラーゲンは架橋構造を与えることによりその機械的強度を増すことがわかっており、歯根膜由来細胞を立体培養させる足場として、架橋を加えたコラーゲン、架橋なしのものを用い、その特性ならびに細胞付着について検討した。架橋を加えたコラーゲンは細胞の増殖による形態の変化も少なく、また細胞が材料の深くまで侵入することが確認された。 2.歯根膜組織内へのコラーゲンスポンジの埋入、再生過程の観察 架橋構造を与えたコラーゲンスポンジを残存歯根膜組織に接して挿入したところ、歯根膜組織の回復と、周囲骨組織の良好な再生を得た。これにより、架橋コラーゲンの優れた生体親和性とその再生能を確認した。 3.生体材料への歯根膜由来線維芽細胞の接着と石灰化 ポリ乳酸、ポリグリコール酸上で歯根膜由来線維芽細胞を培養したところ、培養1日後ではポリスチレン上、コラーゲン上と比較して細胞の付着が少なく伸展も見られなかったが、フィブロネクチンの沈着は多く見られた。培養7日後になると、ポリ乳酸、ポリグリコール酸上でも細胞が伸展し、両者の間で細胞数ならびにフィブロネクチンの沈着に差は見られなかった。また、培養期間を長くすることにより、ポリ乳酸、ポリグリコール酸上においても石灰化結節の形成が見られた。 4.多孔質マイクロキャリア上での歯根膜由来線維芽細胞の培養 立体培養系としてコラーゲン製多孔質マイクロキャリアを用いて歯根膜由来細胞を培養した際の細胞の伸展ならびにALPase活性について検討した。SEMならびに共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ、細胞の突起がマイクロキャリア内部まで伸展している様子が確認された。ALPaseは培養7日目までは差がみられなかったが、培養2週目になると静置した場合に比較して攪拌することによりALpase活性の上昇が認められた。
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