Research Abstract |
本研究は,タンパク質導入法を用いて,BMP, SHH, FGF, IGF, TGF-β, CTGFなど骨形成に関連する成長因子を自己骨髄由来間葉系幹細胞内に導入し,次にそれらをゼラチンスポンジなどのキャリアとともに抜歯窩や実験的な歯槽骨欠損部位に移植することで歯槽骨の再生を試みようとするものである。 本年度は,はじめにFITCと骨形成関連遺伝子のクローニングを試みた。現在は,CTGFとそのファミリーであるcyr61,novの全領域のクローニングが完了している。また,同時にRNAiによるノックダウンの実験系にもこれらのクローニング遺伝子が使用できるように調整済である。今後,随時各遺伝子のクローニングを行う予定である。 次に,in vitro実験に用いるためのヒト骨髄由来の間葉系幹細胞のサンプリングと,その細胞の増殖・継代の手法を確立した。 さらに,in vivo実験においては,生後6週齢のWistar系雄性ラットを用いて抜歯窩治癒促進実験を試みた。これは,抜歯直後に,酸性ゼラチンもしくはI型コラーゲンスポンジをリコンビナントBMP-2もしくはFGF-2と混ぜ,抜歯窩に移植するものである。結果は,抜歯後1,2週間では,コントロール(抜歯後,自然に治癒させる群)と実験群に骨再生の著名な差を見いだすことができなかった。これは,ラットを用いた系では抜歯窩のサイズが小さいために,酸性ゼラチンもしくはI型コラーゲンスポンジとリコンビナントBMP-2の複合体の効果が十分得られなかったためだと思われる。今後,イヌやサルなどの大型動物を使用し,大きな骨欠損に対して,酸性ゼラチンもしくはI型コラーゲンスポンジ+骨再生関連のリコンビナントタンパクの移植と,それらと比較したタンパク質導入法の効果を明らかにする予定である。
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