2004 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞からみた多血小板血漿(PRP)の効果-歯槽骨吸収抑制の可能性-
Project/Area Number |
16659538
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古谷野 潔 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (50195872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮎川 保則 九州大学, 大学病院, 講師 (50304697)
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Keywords | 多血小板血漿(PRP) / 破骨細胞 / 成長因子 / 骨 |
Research Abstract |
多血小板血漿(PRP)は、ヒトの血小板成分を濃縮したもので、血小板には多種多様な成長因子が含まれていること、患者自身から採取できるために感染等のリスクが非常に少なくなることより、急速に歯科臨床に取り入れられてきている。PRPは骨形成の促進、軟組織の治癒の促進に効果的と考えられ、実際その仮説を検証した論文が散見される。しかし、血小板に含まれる成長因子に着目すると、破骨細胞の分化増殖を抑制するものが多く含まれているが、PRPと破骨細胞の関連に注目した研究は見られない。破骨細胞の抑制は、補綴領域では歯槽骨の維持等非常に寄与するところが大きいと考えられる。 そこで、16年度は、以下のことを明らかにすることを目的とした。 1.PRPに含まれる成長因子の同定 健康なボランティア成人の末梢血を用い、遠心分離器を用いて通法通りPRP作製を行った。作製したPRPは、ELISA法を用いてどのような成長因子を含むか、また含有量の定量を行った。その結果、PRPには少なくともPDGF, IGF, TGF-betaが多量に含まれることが明らかになった。これらの成長因子はすべて骨芽細胞、破骨細胞に効果を及ぼすため、PRPの応用が骨量維持/増加に寄与できる可能性が示唆された。 2.経時的な成長因子分泌量変化の測定及びPRPからの成長因子放出量の調節 成長因子は血小板内の分泌顆粒の脱顆粒により放出される。しかし、どの成長因子がどれくらい放出されているのか、またすべての顆粒が脱顆粒を起こしているのかなどは全く知られていない。そこでここでは、PRPに凍結融解法を適用することにより、効果的に成長因子を得る方法を検討した。ELISA法を用い、実験1で明らかになった成長因子について、PRPからの成長因子放出を検討したところ、凍結融解は簡便な上、PRP中の成長因子放出に非常に効果的であることが明らかになった。
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