2006 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞からみた多血小板血漿(PRP)の効果-歯槽骨吸収抑制の可能性-
Project/Area Number |
16659538
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古谷野 潔 九州大学, 大学院歯学研究院, 教授 (50195872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮎川 保則 九州大学, 大学病院, 講師 (50304697)
荻野 洋一郎 九州大学, 大学病院, 助手 (50380431)
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Keywords | 多血小板血漿(PRP) / 破骨細胞 / 成長因子 |
Research Abstract |
多血小板血漿(PRP)は、多種多様な成長因子が含まれている血小板成分を濃縮したもので、患者自身から採取できるため、他家血液による感染のリスク等が非常に少なくなることをメリットとして急速に歯科臨床に取り入れられてきている。PRPは骨形成の促進、軟組織の治癒の促進に効果的と考えられ、実際その仮説を検証した論文が散見される。しかし、血小板に含まれる成長因子に着目すると、破骨細胞の分化増殖を抑制する働きを有するものが数多く含まれているが、PRPと破骨細胞の関連に注目した研究は見られない。破骨細胞の抑制は、補綴領域ではインプラントや義歯の維持安定に必須である歯槽骨や顎骨の維持等に寄与するところが大きいと考えられる。 そこで、18年度は、以下のことを明らかにすることを目的とした。 実験動物を用いたPRPによる骨吸収抑制の検証 PRPの実際の破骨細胞に対する効果を探るため、ラットの歯牙を抜歯後、抜歯窩にPRPを応用することにより治癒の傾向がどのように変化するかを検討した。PRPは液体であるため、そのまま骨欠損部に応用しても血流で拡散してしまう可能性が高いため、ここでは適当な担体、具体的にはコラーゲンスポンジ、ハイドロキシアパタイト顆粒およびフィブリン糊を用いて応用した。これらの担体にPRPを含浸させて抜歯窩に埋入し、経時的に組織標本を作製、欠損部の骨を画像解析することによってPRPの効果を測定した。また、PRPを応用することにより、実際の破骨細胞数がどのように変化しているかを検討するため、得た組織標本にTRAP染色を施し、コントロール群と比較することにより、破骨細胞の数の変化を検討した。ここで用いるPRPは、拒絶反応等の問題より、ラットの血液から作製することとした。その結果、サンプル数は少ないもののin vitroにおいてもPRPの破骨細胞抑制効果が認められた。
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