2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16659547
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
朝比奈 泉 東京大学, 医科学研究所, 寄附研究部門教員(客員助教授) (30221039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 雅規 東京大学, 医科学研究所, 寄附研究部門教員 (70361623)
鎌田 伸之 広島大学, 大学院・医歯学総合研究, 教授 (70242211)
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Keywords | 歯乳頭 / 歯髄 / 歯根膜 / 幹細胞 / 不死化 / BMP |
Research Abstract |
患者の同意を得たもとに得られた、鐘状器の歯胚から歯乳頭、また、完成歯から歯髄、歯根膜、さらに口腔粘膜上皮から遊走してきた細胞をそれぞれ2、3回継代培養後、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素発現ベクターをHPV16あるいはSV40のベクターと共に導入することによって、細胞の不死化に成功した。現在まで、20代以上の継代を行っても増殖能を失うことはない。さらに、それぞれの細胞株についてRT-PCRによって、Dentin Sialo Phospho Protein(DSPP)、Alkaline Phosphatase(ALP)やOsteocalcin(OC)などの象牙質、骨の分化マーカーの発現、およびin vitroでの石灰化能、ALP活性を検討したが、歯乳頭および歯随由来の細胞で、DSPP、ALPの発現が確認できた。また、歯根膜由来の細胞にはALPの発現を認めた。しかし、これらの細胞はタンパクレベルでのALPの発現は非常に低く、in vitroでの石灰化結節形成は認められなかった。さらに、この細胞をポリ乳酸、三リン酸カルシウムを足場とした移植実験を行ったが、in vivoでも硬組織形成は認められなかった。さらに、これらの細胞はrhBMP-2にも全く反応しなかった。一方、ウシ歯胚から得られた歯乳頭細胞の初代培養細胞を移植すると、幼弱な骨様組織の形成を認めた。このことは、ヒト由来の細胞を不死化することにより、BMPに対する応答性を失うなど、なんらかの形質転換が起こり、石灰化能を失ったものと思われる。 一方、ヒト歯髄から得られたcDNAをテンプレートにPCRによってBMP-4遺伝子をクローニングし、発現プラスミドコンストラクトを作製することができた。今後、ヒト歯胚由来の細胞に、このBMP遺伝子を導入し、象牙質あるいは骨の形成能を回復しうるか確認する。
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