2005 Fiscal Year Annual Research Report
三叉神経領域の神経因性疼痛におけるCOX-1、2、3の発現とその役割について
Project/Area Number |
16659563
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
太田 嘉英 東海大学, 医学部, 助教授 (60233152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 隆幸 東海大学, 医学部, 講師 (80297209)
槻木 恵一 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (00298233)
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Keywords | 口腔外科 / 神経因性疼痛 / COX-2 / COX-2 / 中枢性感作 |
Research Abstract |
痛みの中枢性感作にCOX-2や最近cloningされたCOX-3が関与していることが報告された。そのため、近年、COX-2, COX-3 inhibitorにより痛みの中枢性感作が制御できる可能性が注目されている。そこで、今回われわれは、抜歯患者105名を対象にmeloxicamの術前投与を行い、非選択的COX inhibitor投与群、control群と比較しCOX-2 inhibitorの術前投与が有意に術後疼痛を抑制することを明らかとした(p<0.01) (78th clinical and scientific congress of International Anesthesia Research Society, Tampa FL, 2004で発表。Int J Oral Maxillofac Surg, In Press)。 しかし、三叉神経を介した侵害刺激に対する中枢神経のCOX-2,COX-3発現やその詳細なメカニズムについては、基礎実験による解析がほとんど進んでいないのが現状である。これを明らかにするため、ラット眼窩下神経結紮モデルを用いて、神経因性疼痛とCOX-2,COX-3の発現・役割について実験を行った。 ラットの眼窩下神経を結紮切断後、経時的に観察し、脳幹を取り出し連続薄切片を作成した。脳内のCOX-1、COX-2、COX-3、および疼痛時に発現するimmediate early geneであるc-fosの発現について、モノクロナール抗体を用いてSAB法で免疫組織染色行った。現在、それぞれの発現部位・強度を比較・検討することで解析中である。また、COX-1、COX-2、COX-3、c-fos遺伝子の発現量についてもlight cycler systemを用いて併せて検討を行っている。 また、末梢からC fibersを通じた侵害入力は、1次侵害性ニューロンに伝わり、興奮性神経伝達物質産生され、2次ニューロンの鋭敏度が変化し、aspartate、glutamateなどの興奮性アミノ酸が分泌され、N-methyl-D-aspartic acid (NMDA)受容体を興奮させる。これによりカルシウムイオンの流入が促進しslow prolonged potentiationが生じ慢性疼痛が生じることが報告されている。そこで、NMDA antagonistsであるdextromethorphanを侵襲前に投与することで、preemptive analgesic effectが得られる可能性について検討を行い、明らかとした(Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endodontol, In Press)。
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