Research Abstract |
本研究では,歯学部学生の臨床技能教育支援のための,患者シミュレーションロボット(ヒューマノイド型ロボット)の開発を行っている.研究を開始するにあたり,臨床技能訓練に必要な,患者の解剖学的形態,動作,感触,反応,などの再現を開発目標とした. 本年度は,1)ロボットの頭頚部製作のための技術開発と動作確認,および,2)顎,舌,首,肩関節など,14自由度9可動部を付与した,ヒューマノイド型ロボットの開発,を行った.今回開発した患者シミュレーションロボットは,圧搾空気を用いたアクチュエータにより,1)開閉口運動,2)舌の上下・左右運動,3)舌根部の拡張,4)肩,肘,手首関節の曲げ運動,5)眼球の左右の運動,6)瞼の開閉運動,7)頬,眉間の皮膚の動き,表情変化,8)呼吸に伴う胸部の上下運動,の自律運動を可能とした.また,皮膚,口唇,頬粘膜などは,生体組織と粘弾性特性が類似した高分子化合物を採用し,実際の患者の感触と近似させた.毛髪,衣服の再現なども行い,患者の再現性と臨場感とに優れた,ロボットの基本構造が完成した.現在は,様々なパターンの動作を可能とする為に,パーソナルコンピュータを使用した制御プログラムを開発中である.また,会話機能を搭載するために,音声認識,言語解析,および音声合成のプログラムを開発中である. 次年度は,1)患者シミュレーションロボットの動作検証と改良,2)各種センサーの配置の決定,3)様々な臨床的状況を想定した,バリエーションの追加,4)会話機能の搭載,5)制御プログラムの改良,6)耐久性試験,7)各種部品,素材の再検討と最終決定,8)成果の発表,を予定している.
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