2005 Fiscal Year Annual Research Report
摂食・嚥下障害の神経機構解析-in vitro実験系の導入
Project/Area Number |
16659584
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
片倉 伸郎 愛知学院大学, 歯学部, 助教授 (20185804)
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Keywords | 嚥下 / 摘出脳幹-脊髄標本 / ラット / 上喉頭神経 / 舌 / 舌下神経 |
Research Abstract |
上喉頭神経電気刺激によって嚥下活動が誘発可能な摘出脳幹標本の開発を行った。まず顎顔面・咽頭・喉頭などの末梢器官を付けた摘出脳幹-脊髄標本を作製し、次段階として摘出脳幹-脊髄標本を作製した。実験にはWistar系ラット新生仔(生後0〜3日)を用いた。エーテル麻酔下にて上丘-下丘間で除脳し、第一段階では、頭頚部から胸部にかけて分離して脳幹および脊髄背側面を露出し余分な組織を除去して、顎顔面および咽頭・喉頭ならびに食道を、脳幹-脊髄との神経連絡を保存した脳幹-脊髄標本を作成した。舌にワイヤー電極を装着し記録電極とする一方、頚部で右上喉頭神経を周囲組織より遊離し切断した。その後、標本を記録槽に移し、遊離・切断した右上喉頭神経にガラス吸引電極を装着して刺激電極とした。CCDカメラを用いて舌および喉頭の運動を観察した。嚥下活動の誘発には上喉頭神経電気刺激を用いた。同刺激によって嚥下活動類似の舌骨の後上方への挙上が認められると同時に舌筋電図に潜時約150msで群発発射活動が誘発された。次に前段階で作成した標本から末梢器官除去した摘出脳幹-脊髄標本を作成した。舌下神経に記録用ガラス吸引電極を装着する一方、上喉頭神経を迷走神経基部から出来るだけ長く導出しガラス吸引電極を装着して刺激電極とした。末梢器官付き標本で確認した刺激条件で上喉頭神経を電気刺激すると舌下神経に潜時約100msで群発発射活動が誘発された。同活動は潜時、発火パタン等で明らかに吸息活動とは異なり、末梢付き摘出脳幹-脊髄標本で得られた舌筋電図活動と対応する潜時、発火パタンであることより嚥下様活動であると考えられた。本研究より、in vitro実験系でもin vivo実験同様、上喉頭神経電気刺激によって嚥下様活動が誘発可能で、同標本が今後、嚥下の神経機構解析に有用であることが判明した。
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Research Products
(1 results)