2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16659595
|
Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
山田 典子 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (10320863)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 真巳 東京医科歯科大学, 大学院・医学部・保健衛生学研究科, 教授 (30209952)
米山 奈奈子 秋田大学, 医学部・保健学科, 助教授 (20276877)
山本 春江 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (00315540)
工藤 奈織美 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (50315553)
|
Keywords | ドメスティック・バイオレンス / 被害者 / 看護職 / 早期介入 / 異和感 / 感情 |
Research Abstract |
調査1:DV被害者に出会ったときの看護職の観察行動と反応に関する調査 青森県内の保健センターで母子健康手帳交付等を行う相談窓口業務に携わる保健師と、救急および産婦人科・精神科外来や夜間休日診療に携わっている看護職を調査対象に、2004.5月プレテスト,同年6末〜7月末の1ヶ月間に実施した6調査内容は、DV被害の疑いを感じた経験の有無、暴力を疑った根拠となる事象、看護職としての観察やケアの課題意識等。結果、看護師:配布数495部,回収数330(66.7%)、保健師:配布数484部,回収集294部(60.7%)の有効回答が得られた。3人に1人の看護師が打撲擦傷等のDV被害所見のある女性患者と出会っていた。保健師はDVによる身体的所見に接する頻度は14割程度であったが、経済的な困窮状況や心身の消耗度に関する観察把握が特徴的だった。 調査2:DV被害者への看護的方法抽出に関する調査 -支援者が抱える困難の構造分析から- DV被害者の支援者が抱える困難の構造を明らかにし、DV相談を担当する支援者へのサポートについて示唆を得ることを目的に、国内でDV被害者のシェルター等で実際に活動している支援者を対象にインタビューガイドに沿って調査を行った。調査対象は東京、千葉、札幌、仙台、愛知、岡山、大阪、群馬、青森を拠点に活動している支援者20名であった。データに対して3段階のカテゴリー化を行った結果、1.被害者の抱える困難2.子どもへの不適切な養育環境3.支援者の体験する精神的負担4.支援者の体験する葛藤5.システムの課題が抽出された。得られた5つのカテゴリーは、DV支援をめぐって、被害者、子ども、支援者、支援者グループが、それぞれに抱える困難にほぼ対応していると考えられた。そこで、データ提供者が、被害者、子ども、他の支援者に対して抱く異和感の特徴について考察を加えた。 分析過程で、被害者の背負う多様な課題が明確になった。DVの問題は、身体面、精神面、心理社会的側面等、多面的問題を有し、全体として人としての総合的健康の問題である。このことはDVが単に警察や福祉の問題である以上に、すぐれて保健医療上の問題であることを示しているといえる。
|
Research Products
(2 results)