2006 Fiscal Year Annual Research Report
癒し技法としての「手あて」の看護への応用とその評価に関する研究
Project/Area Number |
16659607
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
近藤 浩子 信州大学, 医学部, 助教授 (40234950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 功子 信州大学, 医学部, 教授 (20194102)
楊箸 隆哉 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (90191163)
大平 雅美 信州大学, 医学部, 教授 (50262738)
谷本 桂 信州大学, 医学部, 助手 (00402107)
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Keywords | タッチ / 呼吸法 / 手指先皮膚温 / POMS |
Research Abstract |
【目的】本研究は,癒し技法としての「タッチ」を科学的に評価し,タッチを看護に応用する方法を開発することを目的とする。ここでのタッチは,タッチを行う人が,タッチを受ける人の上背部に数分間柔らかく手をあてる方法である。 【研究方法】1)被験者は研究の趣旨に賛同した20〜30歳代の健康な女性14名であった。2)被験者は,無作為に7組のペアになり,タッチを行う人と受ける人を交互に体験した。タッチへの導入は介助者が誘導し,タッチを行う人が受ける人の背部に手をあて,手を通して相手の呼吸を感じるようにした。3)実験手順は(1)安静5分,(2)呼吸法5分と休息5分,(3)タッチを行うことを5分と休息5分,(4)タッチを受けることを5分と休息5分とした。体位は座位とした。4)生理的測定(手指先皮膚温,心電図,皮膚電気抵抗)は,実験中持続的に行った。心理的測定(POMS)は(2)〜(4)の後で,また主観的反応の自由記載を測定終了時に行った。 【結果】1)タッチを行った14名中13名は,手指先皮膚温が0.3℃〜2.4℃上昇した。またタッチを受けた14名中11名は,手指先皮膚温が0.2℃〜3.2℃上昇した。タッチ実施中の温度上昇は,安静5分および呼吸法5分と比べて大きい傾向があった。さらにタッチを行ったペア7組中5組に手指先皮膚温の上昇が同期する傾向がみられ,特に3組でこの傾向が著しかった。2)心理的測定では,POMSの緊張・不安得点が,タッチを行った後およびタッチを受けた後でともに減少していた。 【考察】本結果の手指先の温度上昇と不安・緊張得点の減少は,タッチによるリラクセーション反応を示唆すると考える。しかしながら,被験者に生じた生理的・心理的反応は一様ではないため,どの反応がタッチによる癒し効果を示しているのか,心電図や皮膚電気抵抗のデータ解析を進めて明らかにする必要がある。またより効果的なタッチを行うための介助方法の開発も今後の課題である。
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