2004 Fiscal Year Annual Research Report
心房細動患者の生活の質に影響する因子の検討とそれを向上させるための介入研究
Project/Area Number |
16659616
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
樗木 晶子 九州大学, 医学部, 教授 (60216497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長弘 千恵 九州大学, 医学部, 教授 (00289498)
筒井 裕之 北海道大学, 医学部, 教授 (70264017)
小池 城司 九州大学, 大学病院, 助手 (90325522)
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Keywords | 心房細動 / Quality of Life / 横断的調査 / うつ症状 / 包括的介入 |
Research Abstract |
今年度は心房細動患者の生活の質(Quality of life:QOL)に影響する因子を明らかにすることを目的とした横断観察研究を行なった。 【方法】福岡市内の医療機関の外来に心房細動の治療目的で通院中の患者137名(平均年齢68歳、男性64%)を対象とした。患者背景(年齢・性・発作様式・危険因子・合併症・既往歴・運動耐容能・心エコー所見・治療薬剤)とともに、不整脈に関連した症状(症状チェックリスト)、心理状態(抑うつ:the center of epidemiological studies of depression、不安:State-Trait anxiety inventory)、健康関連QOL(HRQOL)(Medical Outcome study Short Form 36)の評価を行なった。HRQOLについては、8つの下位尺度から「身体的健康」「精神的健康」のサマリースコアを算出した。 【結果】心房細動患者の19%に抑うつを、47%に不安症状を認めた。また抑うつ症状を認めた患者のHRQOL得点は認めなかった患者と比較し有意に低値であった。またHRQOLの「身体的健康」「精神的健康」を規定する因子を明らかにするために、ステップワイズ回帰分析を行なった結果、「身体的健康」の規定因子は「抑うつ」(β coefficient=-8.5,P<0.01)「運動耐容能」(β coefficient=3.9,p<0.01)「年齢」(β coefficient=-2.9,p<0.01)、「精神的健康」の規定因子は「抑うつ」(β coefficient=11.2,p<0.01)「不安」(β coefficient=6.0,p=0.01)「運動耐容能」(β coefficient=1.45,p=0.03)であった。さらにHRQOLと抑うつとの関連を、年齢別、性別、発作様式別に検討した結果、いずれのサブグループにおいても抑うつを認めた患者のHRQOLは抑うつを認めなかった患者と比較し低値であった。 【考察】心房細動患者の質に抑うつ症状が強く影響していることが明らかとなった。心房細動患者の治療・管理においては、薬物治療、非薬物治療のみならず、心理的サポートや精神症状に対する専門的治療を含めた包括的介入が必要であることが示唆された。
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Research Products
(7 results)