2004 Fiscal Year Annual Research Report
インフォームドコンセントに関わる熟練看護師の実践的知識
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16659618
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Research Institution | Kyushu University of Nursing and Social Welfare |
Principal Investigator |
石原 和子 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 教授 (30284714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 安代 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 助教授
徳永 淳也 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 助教授 (30343370)
末永 芳子 熊本保健科学大学, 保健科学部, 助手
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Keywords | インフォームド・コンセント / 熟練看護師 / 実践的知識 / 患者の自律性 / 看護援助プロセス |
Research Abstract |
日本看護協会は、インフォームド・コンセント(以下ICと略す)に関わる看護者の役割について、「看護者は、人々の知る権利および自己決定の権利を尊重し、その権利を擁護する」と明示されている。つまり患者の自律性を尊重するという倫理観に基づいて、熟練看護師(臨床経験5年目以上)を対象に、(1)ICに関わる認識と看護援助の実践的知識を明らかにする。(2)ICに関わる患者とその家族の反応、同僚スタッフの反応など、一連の看護援助プロセスを構造化する。の2つを研究目的とした。 研究方法は、質的研究法のグラウンデッド・セオリー・アプローチ(Grounded Theory Approach)を用いた。倫理的手続きを経た2ヵ所の病院看護部の推薦を受け、かつ、本研究に同意した熟練看護師を対象者として半構造化面接を実施した。対象者は16名で全員が女性看護師であった。年齢は26歳〜50歳で平均37.2歳、臨床経験年数は5年〜29年で平均16年であった。 分析は、GTA法を用い、理論的飽和状態になるまで継続的に行った。熟練看護師が抱いているICの認識と、IC実施時における医師・患者・家族との関係性を分析した結果、(1)ICの認識、(2)コミュニケーション、(3)IC後のフォローアップ、(4)体験的知識の提供、(5)信頼関係醸成、(6)患者自律への働きかけ、(7)洞察、(8)調整、(9)受容、(10)揺れに伴う確認作業、(11)ICの方略、(12)問題提起、(13)患者安心の保証、(14)自己決定への支援、(15)相談の15の概念が生成された。 結論として、15の概念生成に基づいた患者の自発性・自律性を支持し自己決定へと導く一連の看護援助支援プロセスは、 [ICの認識と方略]⇔[IC後のフォローアップ]⇔[調整]⇔[患者の自律への働きかけ]⇔[自己決定への肯定的支援]⇔[患者・家族の揺れに伴う確認作業]⇔[相談] という概念構造となった。
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