2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16659623
|
Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
坂本 祐子 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (20333982)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 泰伸 東北大学, 大学院・理学研究科附属ニュートリノ科学研究センター, 研究員 (60350328)
|
Keywords | 周手術期間看護学 / 老年看護学 / 生体情報・計測 |
Research Abstract |
最終年度は,「重心移動測定により術後譫妄症状を定量評価することが可能であるか判断する」ことを目的とし重心移動の測定を行った。着目したのは,未抽出の術後譫妄症状の抽出と重心移動の大きい譫妄動作の様態と頻度の把握である。動画撮影には前年度に作成した動画撮影ユニットを用い,外科病棟の患者を3日間撮影した。重心移動のデータは,看護師による術後譫妄症状の模擬動作と,外科病棟の実際の患者のデータを測定した。 これらの調査や測定では患者4名と看護師6名の模擬動作のデータが取集でき,これを解析した結果以下の結果を得た。 (1)看護師が認識している術後譫妄症状以外の新たな症状は見出せなかった。 (2)「起居」動作は,「シーツに手を突く」「ベッド柵を握る」等など様々な動作においても1秒あたりの重心移動は大きい。 (3)「点滴抜去」のような重心移動が少ないと思われていた上肢の動作においても,重心移動は発生する。 (4)動作の内容により横軸優位,縦軸優位(体軸)の重心移動が発生する。 これらの結果から,我々が提案する重心移動測定にとる術後譫妄症状の定量評価は,重心移動量や軸移動の特徴から十分有意なレベルで可能であると判断できる。 術後譫妄症状と重心移動の定量的な関連付けには,現在のところ,まだ症例数が少なく至っていない。今年度は,患者8名に調査協力を依頼し4名から承諾を受け,そのうち1名が術後譫妄を発症,非承諾者4名中1名が発症した。これまでの調査実施状況の統計から,今後調査研究を2年間継続することで8〜10例のデータ数を収集できることが見込める。このうち25%が譫妄を発症すると仮定をすると,今後2年間で解析に必要な症例数の蓄積が可能である。 今回の調査研究では,「1秒あたりの重心移動量」に着目して解析を行ったが,今後「単位時間を数秒から数分,数十分」など設定し時間当たりの移動量の解析,単位時間を設定した「総移動量」の算出,発症前後の比較など,今回収集したデータの解析を継続して行い,定量評価法の確立することが課題として残った。
|
Research Products
(2 results)