2004 Fiscal Year Annual Research Report
中高年女性介護終了者の介護体験と地域保健活動に対する認識と行動
Project/Area Number |
16659635
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Research Institution | Kinjo University |
Principal Investigator |
榊原 千秋 金城大学, 社会福祉学部, 助手 (20367501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 和子 金沢大学, 医学部, 教授 (20264541)
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Keywords | 中高年女性介護者 / 介護体験 / ALS |
Research Abstract |
中高年女性介護者が、夫の介護中、看取った後にどのような経過をたどるのか、介護の体験が看取り後の人生にどのような意味を持つのかを明らかにすることを目的に研究を行った。 研究方法は、I県・T県在住の40〜60歳代のALSの夫を看取った中高年女性介護終了者で、看取り後1年〜5年を経過した者とした。研究参加者は日本ALS協会を通じて紹介を受けた。書面と口頭で研究の目的、主旨を説明し同意書に署名し研究参加の了解を得られた8名を対象とした。データ収集方法は、面接調査で主に(1)介護の状況と経過、(2)介護終了後の経過、(3)介護終了後の人生に介護の体験がどのような意味をもったか、(4)介護終了者への支援の現状と希望、(5)ALS協会やその他の地域保健活動への認識や行動という内容で、半構成面接を行った。面接は、研究代表者が行い質的記述的分析は、研究分担者とともに行い研究の厳密さを確保した。 データの分析については、8名の研究参加者との面接を録音しテープを逐語記録としたものと面接記録を質的記述的に分析した。分析技法については、willigを参考に(1)逐語記録の読み返し、(2)逐語記録をセクションに区切りテーマを特定しラベル付けを行った(3)テーマをリスト化して意味や関係を共有するテーマと相互に関連付けし構造化を行った(4)テーマを時期別の群ラベルに分類し要約表を作成した(5)研究参加者に抽出されたテーマラベルをフィードバックし同意できるものかを確認し再考した。 その結果、ALSの夫を看取った中高年女性は、介護、看取り後のプロセスの中で、夫の喪失や苦痛を自分のものとしてひきうけ、看取り後には自己喪失と深い悲嘆を体験していた。しかし援助者らからの誠意を持った見守りや、同じ体験を語り合える仲間との出会いの中で、新たな自分自身を取り戻し他者への援助に関心を向けるように変化していくことが明らかになった。今後は、介護終了者の地域保健活動への認識や行動について明らかにしていく。
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