2005 Fiscal Year Annual Research Report
触覚を持つロボットにおける皮慮感覚とコミュニケーションの相関関係獲得
Project/Area Number |
16680012
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
宮下 敬宏 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 知能ロボティクス研究所, 上級研究員 (50332771)
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Keywords | 触覚コミュニケーション / 触覚センサ / 触行動識別 / センサネットワーク / 自己組織化 / 全身触覚 / ロボット / 触覚と自己運動の相関 |
Research Abstract |
平成17年度は,触覚センサネットワークの実現に向けて,触覚情報取得回路を用いた触覚センサネットワーク自己組織化手法を提案した.さらに,人とロボットの触覚を介したコミュニケーションの実現に向けて,ロボットの自己の運動によって生じる触覚情報の除去とコミュニケーション時の人の触行動識別を行った. 具体的には,まず触覚情報取得回路22個と小型PVDFシート274枚を設備備品である人型ロボットの全身に取り付け,ロボットと一般被験者とのコミュニケーション実験を行い,コミュニケーション時の触行動に関するデータ(触覚センサ出力・ビデオ映像・被験者アンケート)を収集した.この実験では,握手・抱擁などの触覚情報に基づくロボットの行動を被験者の反応にあわせた厳密なルールに基づき実験者が選択し,簡単なコンテキストのある日常的なコミュニケーションを実験の中でも実現した.ここで得られた触覚センサ出力の相互相関演算から,コミュニケーション時はロボット体表のセンサエレメント間には近隣だけではなく離れた場所にも高い相関があり,全身触覚情報には触行動に基づいた局所性があることが明らかになった.この局所性を有効に利用した触覚情報の分散処理を個々の触覚情報取得回路上で行い,かつアドホックネットワークなどで用いられるDSRと類似した手法で情報の伝達経路を自己組織化することで,頑健かつ効率のよい触覚情報処理を実現した.また,相関の高い触覚センサ群によるセンサ出力空間の部分空間を利用した触行動識別手法を提案し,ロボットは皮膚感覚のみでコミュニケーション時の15種類の触行動を識別可能になった.さちに,非接触時のセンサデータから,PVDFシートから得られる全身触覚情報と関節角速度情報の間に強い相関があることがわかった.この相関に基づき,関節角度・角速度・角加速度情報を用いた自己の運動に起因する触覚情報の除去手法を提案した.
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