2004 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳開始因子間の相互作用を指標とする蛋白質合成のリアルタイム可視化システムの構築
Project/Area Number |
16680016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 泰丈 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00343252)
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Keywords | 局所翻訳 / バイオセンサー / FRET |
Research Abstract |
近年、神経細胞のシナプスにおいて細胞体とは独立した翻訳が行われる可能性が示唆されている(local translation)。しかし樹状突起や成長円錐に局在するmRNAからの蛋白質合成が外部からの刺激によりどのように制御され、さらに局所での翻訳が神経細胞にどのような影響を与えるのかについては未解明な点が多い。その理由のひとつがmRNAから蛋白質への翻訳がおこなわれたということをリアルタイムに解析するための手段が存在しないからである。これまでの研究手法は翻訳の最終産物である蛋白質量に依拠している 。しかし蛋白質の量は翻訳以外の様々な不確定要因による影響を受けるため、翻訳動態の指標としては不適切である。そこでわれわれは翻訳開始時に起きる翻訳開始因子どうしの分子間相互作用の変化をFRET(Fluorescent Resonance Energy Transfer)を用いて可視化することにより、翻訳の過程そのものを指標とする手法の開発を考案した。翻訳開始因子複合体のなかで直接相互作用を起こすeIF2βサブユニットとeIF5のそれぞれをCFPおよびYFPで標識した蛍光プローブをラット海馬神経細胞に強制発現させ、結合・解離の動態をFRETでモニタリングする方法を採った。神経細胞をBDNFやephrinB2で刺激すると、樹状突起において青色励起波長で得られる吸収波長が長波長側から短波長側へ、すなわち黄色から青色へ変移することがわかった。
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