2006 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳開始因子間の相互作用を指標とする蛋白質合成のリアルタイム可視化システムの構築
Project/Area Number |
16680016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 泰丈 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00343252)
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Keywords | 局所翻訳 / バイオセンサー / FRET |
Research Abstract |
我々はmRNAから蛋白質への翻訳がおこなわれる過程をリアルタイムに解析するための手段として、翻訳開始因子間の相互作用の変化をFRET (Fluorescent Resonance Energy Transfer)を用いて可視化する手法の開発した。前年度までに直接相互作用を起こすeIF2βサブユニットとeIF5サブユニットの分子間相互作用を利用して、それぞれにCFPおよびYFPを標識した蛍光プローブの動態をFRETによりモニタリングすることに成功し、この相互作用の動態が翻訳のオンオフと同期して起きることを示した。このシステムを利用して細胞の特定の位置における翻訳状況の変化をリアルタイムに観察することが可能にした。翻訳開始因子複合体は40SリボソームをmRNAにリクルートすることにより翻訳開始を促進する機能を有するが、それと同時に複合体は解離する。最近の知見から40Sリボソームを構成するrpS2サブユニットはアルギニンメチル化酵素であるPRMT3によりメチル化を受け、40Sリボソームから80Sリボソームへの成熟を促進している。そこで海馬初代培養神経細胞のPRMT3の発現をRNA干渉法(RNAi)により抑制したところ、神経栄養因子であるBDNFによるタンパク質の誘導が阻害されたため、同じ条件下でeIF2β-eIF5間のFRETを観察した。その結果、BDNF添加後に起きる細胞体から樹状突起にかけてのCFP/YFP比の上昇がPRMT3発現抑制細胞においては有意に低下した。またタンパク質量について検討したところ、BDNFによりαCaMKIIは誘導されていないことがわかった。以上より、PRMT3がrpS2のメチル化を介してリボソームの成熟を促進することにより翻訳開始複合体を解離させることが示された。
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