2005 Fiscal Year Annual Research Report
低温プラズマと光触媒の複合反応器による揮発性有機物の高速・高効率処理技術の確立
Project/Area Number |
16681007
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
金 賢夏 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 研究員 (20356893)
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Keywords | 低温プラズマ / VOC / 触媒 / プラズマ駆動触媒反応 / 酸素プラズマ |
Research Abstract |
本年度では、低温プラズマ駆動触媒システム(以下PDC)の最適化を目標に、触媒の種類、反応器のサイズ、反応ガス中の酸素濃度などがPDCシステムにおけるエネルギー効率および分解生成物の収率に与える影響について精査した。ベンゼン分解を指標反応としてPDC反応器における触媒種類の影響を検討した結果、ベンゼン分解の初期反応では触媒種類による影響は少なく、分解効率は比投入エネルギーに強く依存することを明らかにした。一方、ベンゼン分解における生成物の収率は使用触媒の種類によって大きく変化した。銀触媒は担体(酸化チタン、ガンマアルミナ)に寄らず担持量が多くなるほどCO_2収率が向上した。特に、白金(Pt)を担持したアルミナ触媒では、流通式実験で97%のCO_2収率を得ることに成功した。PDC反応器にゼオライト触媒を用いた場合は他の触媒に比べ低いCO_2収率を示した。しかし、ゼオライトにPt-アルミナ触媒を混合させることによりCO_2収率を大幅に改善できることも明らかにした。反応器構造の最適化について検討した結果、PDC反応器のギャップが小さいほど分解効率が向上することを明らかにした。また、PDC反応を用いるVOC分解反応の良好な炭素収支からも予測できたように、150時間に及ぶ連続実験でも触媒の失活は認められず安定した分解性能を維持できることを明らかにした。 VOC分解におけるPDC反応器の特徴を精査する中で、同じ比投入エネルギーでも反応ガス中の酸素濃度が高くなるほどVOC分解率及びCO_2選択率が飛躍的に向上することを見出した。従来のプラズマ単独法または従来の熱触媒反応ではVOC分解率及びCO_2選択率ともに酸素濃度への依存性は認められなかった。このようなPDC特有の酸素濃度に対する強い依存性を有効に活用するために、吸着と酸素プラズマによる吸着VOC分解を交互に行なうサイクルシステムを提案した。ベンゼンを用いた実験を通してサイクルシステムではベンゼンをCO_2に完全酸化できるとともに窒素酸化物の完全抑制を同時に達成できた。
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