2005 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレンの骨格変換を機軸とする内包フラーレンの有機合成
Project/Area Number |
16681008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 靖次郎 京都大学, 化学研究所, 助手 (40314273)
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Keywords | フラーレン / 開口フラーレン / 水素内包フラーレン / C70 / C60 / 有機合成 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
フラーレンC70はC60よりも大きな内部空間をもつために、2個の小分子の内包が可能であると期待されている。そこで本研究では水素分子を内包したC70の合成を行った。すなわち、C70とピリダジン誘導体との熱反応により、8員環開口部をもつ誘導体を合成し、光化学的な酸化反応により開口部を12員環へと拡大し、さらに硫黄原子を開口部に挿入することによって13員環の開口部をもつC70誘導体を合成した。この誘導体の構造はX線結晶構造解析により決定され、開口部の大きさが先に報告した開口C60誘導体のものとほぼ同程度であることが確認された。また、理論計算により水素分子の挿入に必要なエネルギーを見積もり、開口部の大きさを評価した。次に13員環開口体に高圧の水素ガスを作用させたところ、水素分子1個が内包されたもの(収率97%)に加えて、2個の水素分子が内包されたもの(収率3%)が生成していることが、NMR測定により明らかとなった。内包された水素分子は可逆的に取り出すことも可能である。一方、2個内包体の温度可変NMR測定を行ったところ、内包された2個の水素分子は室温では互いの位置の交換が速いものの、低温ではその速度が減少し、NMRの時間尺度で止まることが明らかとなった。最後に水素分子を内包したままでの開口部の修復を4段階の有機化学反応により行った。その結果、水素分子1個を内包したC70、ならびに2個の水素分子を内包したC70をそれぞれ単離することに成功した。H2@C70のNMR, IR測定の結果、内包水素分子と外側のC70骨格の間には弱い相互作用があることが明らかとなった。
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[Journal Article] Calix[5]arene-based Receptor for Dumb-bell-shaped C1202005
Author(s)
Haino, T., Seyama, J., Fukunaga, C., Murata, Y., Komatsu, K., Fukazawa, Y.
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Journal Title
Bull.Chem.Soc.Jpn. 78
Pages: 768-770
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[Journal Article] Positive Heterotropic Cooperativity for Selective Guest Binding via Electronic Communications through a Fused Zinc Porphyrin Array2005
Author(s)
Sato, H., Tashiro, K., Shinmori, H., Osuka, A., Murata, Y., Komatsu, K., Aida, T.
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Journal Title
J.Am.Chem.Soc. 127
Pages: 13086-13087
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[Journal Article] Organic and Organometallic Derivatives of Dihydrogen-encapsulated [60]Fullerene2005
Author(s)
Matsuo, Y., Isobe, H., Tanaka, T., Murata, Y., Murata, M., Komatsu K., Nakamura, E.
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Journal Title
J.Am.Chem.Soc. 127
Pages: 17148-17149
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