2004 Fiscal Year Annual Research Report
低分子神経栄養性因子の全合成・高機能化・機能解析による神経科学の新展開
Project/Area Number |
16681018
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 将行 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70322998)
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Keywords | メリラクトンA / TMC-95A / 神経突起伸展活性 / 神経変性疾患 / 神経細胞 / 鏡像体 / 全合成 / 構造活性相関 |
Research Abstract |
1.メリラクトンAの両鏡像体の全合成と活性評価 中国産シキミ科植物Illicium merrillianumの果皮から単離されたメリラクトンA(1)は、神経栄養因子と同様の活性を示すため、アルツハイマー病などの神経変性疾患への応用が期待されている。5員環の縮環した籠型の骨格に、3つの4級炭素、2つの_-ラクトン、オキセタンが存在する特異な構造を有する。1のラセミ体の全合成は、2003年にすでに報告した。今回、より効率的な全合成ルートの確立、1の両鏡像体全合成、および単純化類縁体の合成をそれぞれ達成した。さらに合成した化合物の神経突起伸展活性を評価したところ、単純化類縁体は活性を示さなかったものの、メリラクトンAは両鏡像体とも神経突起伸展活性を有することを初めて見出した。 2.TMC-95Aの神経突起伸展実験 2003年に全合成したTMC-95A(2)の神経突起伸展実験を行なった。実験には、神経細胞のモデルとして広く用いられるNeuro2AとPC12細胞を用いた。その結果両細胞において、突起の著しい伸展が観察された。この結果により、2の神経突起伸展活性は、神経細胞モデルに対して一般性があり、2やその誘導体が低分子神経栄養因子となる可能性を世界で初めて示した。
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Research Products
(1 results)