2004 Fiscal Year Annual Research Report
マウス精子および体細胞の室温保存法に関する基礎的な研究
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16681020
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
日下部 博一 旭川医科大学, 医学部, 教務職員 (60344579)
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Keywords | マウス / 精子 / 体細胞 / 室温保存 |
Research Abstract |
凍結乾燥用溶液(ETBS)中のマウス精子の正常性(卵活性化能および染色体正常性)は、ビタミンEアセテート添加により長持ちすることを本年度の研究開始直前に報告した。そこでより強力な水溶性抗酸化物質を使用すれば、更に良好な結果が得られると期待し、マウス精子を緑茶カテキン(EGCG)を加えた通常の培養液中で30分処理後、卵に注入し、第一卵割中期で染色体分析を行った。その結果、10μM以下の濃度で処理した後の運動性精子を注入した場合、染色体構造異常の誘発率は対照群と同レベル(4.9-8.3%)となったが、不動性精子を注入した場合は濃度依存的に増加(26%-57%)した。その他、前核停止および異常な精子クロマチン塊が多発した。すなわち、EGCGによる不良精子の選択的排除作用が示唆されたものの、毒性が発現しない低濃度でEGCG処理したときの精子正常性の維持効果については今後の検討を要する。また、EGCGやビタミンE以外の様々な抗酸化剤についても分析したが、いずれの物質もETBS中のマウス精子の正常性を室温で維持する効果は認められず、現在、抗酸化物質添加以外の方法、すなわち新たな保存溶液を試作中である。 凍結乾燥精子は溶液中の精子と比べてガンマ線抵抗性を示し、放射線などの電磁波による影響を受け難いことを報告した。つまり凍結乾燥精子が真空無水状態にあることが、これらの物理的環境因子の攻撃に対して防御的に働く。しかしながら、マウス凍結乾燥精子の室温永久保存の可能性は問題視されており、現在、室温保存した凍結乾燥精子の染色体分析を進行中である。 体細胞の凍結乾燥法については、チャイニーズ・ハムスター肺由来細胞株であるCHL/IU細胞をMEMやETBSに懸濁し凍結乾燥したが、凍結乾燥細胞を培養液に播種しても増殖は再開しなかった。これについては凍結乾燥手順の全般的見直しが必要である。
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Research Products
(2 results)