2004 Fiscal Year Annual Research Report
暗黒物質探索実験のための大容積微細三次元飛跡検出器(大型マイクロTPC)の開発
Project/Area Number |
16684004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
身内 賢太朗 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80362440)
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Keywords | ガス検出器 / 二次元画像装置 / タイムプロジェクションチェンバー / 暗黒物質 / 地下実験 |
Research Abstract |
既に完成している10cm角のマイクロTPCに放射線源からの中性子を照射、中性子に対する検出器の応答を詳細に研究した。原子核の、中性子と暗黒物質に対しての応答は基本的に同じため、この研究はマイクロTPCの暗黒物質に対する感度を測定することに等価な研究である。本研究ではマイクロTPC他実験への応用と異なって0.2気圧以下の低圧での長期測定が必要となるため、 -低圧ガスでの長期安定性の評価 -低圧ガス中での荷電粒子の飛跡取得実験 を精密に行った。この結果、安定性に関しては要請値である数ヶ月オーダーでの安定動作にはいたらなかったが、一週間程度の安定動作を実現、今後の開発への指針を得た。低圧ガス中での荷電粒子の飛跡取得実験では、マイクロTPCがほぼ計算で見積もられた通りの応答を示すという結果が得られた。 暗黒物質との反応率が高いと考えられているフッ素を多く含むガス、CF4が検出器のターゲットガスとして使用可能であることを基礎的な測定によって確かめた。 暗黒物質探索実験では環境中性子のバックグラウンドが問題になる為、中性子バックグラウンドモニターと暗黒物質探索実験を同じ仕組みの検出器でガスを入れ替えるだけで行える本検出器は他にない優位性がある。今年度の実験でこの点についての計算を行った。 30cm角の検出面積を持つμ-PICの開発を行い、各種性能評価を開始した。約60万点のピクセルを有する検出器において、端の2cm程度を除いては非常に良好な電極を得ることが出来た。この検出器を用いてマイクロTPCを製作することで地下実験に用いることが可能であると見込まれる。30cmμ-PICからの1500チャンネルの信号を高速処理するための座標演算回路を製作、ソフトウエアの調整を行った。 地下実験の為の検出器及び遮蔽材の基本概念を設計した。
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