2005 Fiscal Year Annual Research Report
暗黒物質探索実験のための大容積微細三次元飛跡検出器(大型マイクロTPC)の開発
Project/Area Number |
16684004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
身内 賢太朗 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80362440)
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Keywords | マイクロパターンガス検出器 / 二次元画像装置 / TPC / 暗黒物質 / 地下実験 |
Research Abstract |
平成17年度の研究では、平成18年度に予定している地下実験で使用予定の30cm角マイクロTPCの製作、性能評価を行った。 (1)30cm角マイクロTPCの全容積の読み出し(1536チャンネル)に対応した回路を製作した。平成16年度の開発で座標演算装置及びVMEの読み出し部は完成、平成17年度の開発では真空からの信号読み出し基板、前置増幅回路、ケーブルを製作した。信号減衰のない真空からの信号引き出しが課題だったが、技術を確立、全面積対応製作を行った。回路全体が完成の後、30cm角の二次元画像を取得、システムとしての動作を確認した。 (2)30cmのドリフト長を持つマイクロTPC(平成16年度までに10cmのドリフト長が確認されている)を製作、全容積からの荷電粒子の飛跡取得を確認した。ドリフト長が長い部分の原子核反跳現象を捉えることが可能であることを実証、電子拡散による信号減衰に影響されない検出器動作パラメータを得た。今後、ゲッターポンプ、ターボポンプ、ステンレス製真空容器(現在はアルミニウム製)を導入、年単位での長期安定動作を目指した改良を行う。 (3)10cm角のマイクロTPCに放射線源からの中性子を照射、重荷電粒子(炭素原子核、フッ素原子核)の飛跡が取得可能であることを実証した。また、マイクロTPCの持つ飛跡情報を使ってガンマ線バックグラウンドをほぼ完壁に除去することが可能であることを確認した。今後、30cm角マイクロTPCを用いて同実験を行う。 (4)コンピュータシミュレーションによって、地下実験、その為に必要なビーム試験によるエネルギーキャリブレーションの実験を具体的に検討した。平成18年度後半に神岡地下実験室で100日間ほど測定することで、中性子バックグラウンドの方向に感度のある測定が可能であることが見積もられた。
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