2004 Fiscal Year Annual Research Report
THz光顕微鏡・走査型電位計の高性能化とそれを用いた半導体量子構造の電子物性研究
Project/Area Number |
16684007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 行雄 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90334250)
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Keywords | THz光顕微鏡 / 走査型電位計 / 雑音センサー / 1 / f雑音 / 量子ホール効果 |
Research Abstract |
今年度は、最近われわれが開発した2つのユニークな計測技術-THz光顕微鏡と走査型電位計-を応用した新奇な走査型プローブシステムの構築、さらにそれを用いた物性研究を行った。具体的に得られた成果は、以下の5点に要約される。 技術開発: (1)THz光顕微鏡と走査型電位計を組み合わせた、従来と異なる形態・機能を有する走査型プローブ顕微鏡の開発に成功した。これにより、THz発光と電位の空間分布の同時観測が可能となった。 (2)走査型電位計を雑音センサーとして応用することで、雑音電圧の空間イメージングに成功した。 物性研究: (3)(1)の走査型プローブを用いて、量子ホール素子におけるサイクロトロン発光と電位の同時マッピングに世界で初めて成功した。この測定から、ランダウ準位内と準位間散乱の各々の空間分布観測が可能となった。得られた結果から、それぞれを特徴づける散乱長の大きな違いを明らかにした。 (4)(3)で得られた知見に基づき、THz光顕微鏡を用いてサイクロトロン発光分布の試料サイズ依存性を調べた。その結果、数百μmという巨視的なスケールにわたり、発光分布が試料幅に応じて著しく変化する、サイズ効果を見出した。 (5)(2)の雑音センサーを用いて、量子ホール系における1/f雑音の空間分解測定を行った。得られた画像から,巨大な1/f雑音の発生の起源が、非平衡なエッジ-バルク状態の平衡化における電子の不規則な緩和過程にあることを突き止めた。 以上の成果に関して、走査型電位計についてはApplied Physics Letters誌2004年2月16日号の表紙に選ばれた。さらに、上記(4)の成果は、2004年8月に米国フロリダ州で開催された国際会議(16^<th> International Conference on High Magnetic Fields in Semiconductor Physics)において招待講演を行った。また、以上の研究成果を総合的に解説した記事を、雑誌「固体物理」2004年12月号において発表した。
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Research Products
(7 results)