2004 Fiscal Year Annual Research Report
有機物質への10GPa級超高圧印加により新電子相の創生
Project/Area Number |
16684009
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
谷口 弘三 埼玉大学, 理学部, 助手 (50323374)
|
Keywords | 超高圧 / 有機伝導体 / 超伝導 |
Research Abstract |
本年度は、まず、本研究において中心となる改良型ブリッジマンアンビルと呼ばれる特殊な圧力発生装置を開発している。この装置は、10GPa級の超高圧を、比較的小さなシステムで実現でき、ダイヤモンドアンビルにくらべ、その発生させる圧力の質がはるかに優れているという利点を持つ。この年度に購入した備品の大半はこのためのものであり、マグネット付きクライオスタットや30ton油圧プレス及びダイレクトピストンは装置の心臓部である。また、クライオスタットには、低インピーダンスの超伝導マグネットを付加させるが、これは、超高圧下での磁気抵抗やホール効果を測定するためのものである。特に、超高圧下でのホール効果測定は、有機導体においては、ほとんど例がないため、この分野での発展が期待できる。 また、候補となる有機導体の単結晶試料の合成も平行して行い、次年度からの物性測定に備えている。候補物質としては、我々が超伝導を観測したβ'-(BEDT-TTF)_2ICl_2をはじめとするBEDT-TTF塩などであるが、多くの有機単結晶試料の合成に成功している。 それらの準備的研究と平行して、本年度は、圧力下物性測定の成果も上がっている。我々が、転移温度世界記録の超伝導を観測したβ'-(BEDT-TTF)_2ICl_2と類似物質であるβ'-(BEDT-TTF)_2AuCl_2をキュービックアンビル型圧力発生装置を用いて超高圧下物性研究を行った結果、超高圧下では、分子間の相互作用よりもアニオンと分子の相互作用が重要であることが判明した。この成果は、超高圧下での構造変化を予測する上で需要な情報であり、今後の研究において重要な指針となる。
|
Research Products
(5 results)