2004 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線・真空紫外線を用いた光電子・逆光電子分光法による強相関物質の電子状態
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16684010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
溝川 貴司 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (90251397)
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Keywords | 光電子分光法 / 逆光電子分光法 / 強相関電子系 / 電子状態 / 占有状態 / 非占有状態 / 光誘起相転移 / 金属絶縁体転移 |
Research Abstract |
光電子分光装置については、エネルギー分析器が納入され、3-5meVのエネルギー分解能が達成されていることを確認した。低温で巨大光伝導を示すSrTiO_3,室温強磁性を示すTi_<1-x>Co_xO_2,金属絶縁体転移を示すCuIr_2S_4,高温超伝導体薄膜YBa_2Cu_3O_y/SrTiO_3,光照射によって価数が変化するCsAuBr_3,電荷秩序を示すLa_<1+x>Sr_<2-x>Mn_2O_7等の強相関物質の光電子分光測定を精力的に進めている。特に、Nd:YAGレーザーからの355nmのパルス光励起下でのX線光電子分光実験を行い、YBa_2Cu_3O_y/SrTiO_3:Nbヘテロ接合での光起電力を非接触で測定できることを示した。さらに、光起電力による光電子スペクトルのエネルギーシフトが励起光の周波数に依存することから、注入されたキャリアーの寿命について情報が得られた。また、Cs_2Au_2Cl_6,Cs_2Au_2Br_6,Cs_2Au_2I_6において、Au^+とAu^<3+>への電荷不均化によってAu 4f内殻準位が分裂する様子を系統的に計測し、さらにCs_2Au_2Br_6については、Au^+とAu^<3+>の2つの成分が光照射によってAu^<2+>に変化する様子を観測することに成功した。 分散マッチングを利用した高エネルギー分解能逆光電子分光装置の開発については、平成16年7月にオーストラリアで開催された国際会議VUV14において、その進展状況を発表し、注目を集めた。当国際会議に投稿した論文は審査員によって受理され、出版される予定である。高エネルギー分解能逆光電子分光が稼動すれば、種々の強相関物質において非占有状態の測定を開始する予定である。
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