2006 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線・真空紫外線を用いた光電子・逆光電子分光法による強相関物質の電子状態
Project/Area Number |
16684010
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
溝川 貴司 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教授 (90251397)
|
Keywords | 強相関電子系 / 物性実験 / スピネレクトロニクス / 強相関エレクトロニクス / 光物性 |
Research Abstract |
金属絶縁体転移を示す欠損ペロブスカイトRBaCo_2O_<6-δ>(R=Tb, Nd;δ=0.5, 1.0)、低温で重い電子的挙動を示すペロブスカイトCaCu_3Ru_4O_<12>、特異なスピン軌道秩序を示すスピネルAV_2O_4(A=Li, Zn, Cd)の電子状態を表面敏感な真空紫外線光電子分光およびパルク敏感なX線光電子分光によって研究した。特に、RBaCo_2O_<6-δ>では金属絶縁体転移に伴うe_gバンドの形状変化が観測された。CaCu_3Ru_4O_<12>では、Cuは2価であり局在したCu 3d電子が重い電子的挙動に重要であることを明らかにした。さらに、ワイドギャップ希薄磁性半導体Ti_<1-Σ>Co_xO_2、光誘起金属絶縁体転移を示すペロブスカイトPr_<0.55>(Ca_<1-y>Sr_y)_<0.45>MnO_3とスピネルCuIr_2S_4についても、光照射下においてバルク敏感なX線光電子分光と表面敏感な真空紫外線光電子分光を行い、光誘起の電子状態変化を観測した。バルク敏感な紫外線光電子分光については、Nd : YAGレーザーの第5高調波は大気による吸収を受けないエネルギー領域にあり、かつ、仕事関数を超えて光電子を放出させるのに十分なエネルギーを持つことに注目し、Nd : YAGレーザーの第5高調波によるバルク敏感な紫外線光電子分光装置を完成させて測定を行った。紫外線によるバルク敏感なエネルギー領域での逆光電子分光については、銅酸化物高温超伝導体の測定を行い、非占有状態を観測した。真空紫外線による表面敏感なエネルギー領域での逆光電子分光については、真空紫外線の検出が不十分であり有効なデータを得ることはできなかったが、電子源や光子検出について技術開発を行い、今後の発展の基礎となる成果が得られた。
|