2005 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙ステーション用画像分光望遠鏡の地上積極運用による共同利用環境構築と月地質観測
Project/Area Number |
16684016
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐伯 和人 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50292363)
|
Keywords | 惑星起源・進化 / リモートセンシング / 地質学 / 惑星探査 / 岩石・鉱物・鉱床学 |
Research Abstract |
画像分光望遠鏡の本格運用を開始した。ユーザーのメーリングリストを立ち上げ、観測協力者および観測テーマを募り、海外遠征観測チームを組織した。観測地は大気や雲の影響が少ない米国ハワイ州マウイ島のハレアカラ山頂である。大阪大学での観測訓練の後、8月と12月の2回、ハワイへの観測遠征を行った。参加者は大阪大学5名、JAXA2名、秋田大学、東北大学、神戸大学、九州大学、JFEテクノリサーチ社それぞれ各1名の合計12名となった。現地ではハワイ大学のMEES太陽観測所の観測支援施設、および、東北大学の岡野研の天文ドームを使用させていただき、画像分光望遠鏡本体は日本からその都度空輸した。準備や悪天候を除いて夏冬合計で15夜分の月面分光データを得た。解析が終わったテーマから順次公表する予定であるが、ここではまもなく国際誌に発表予定の例を二つあげる。ひとつは月面の高精度の反射率マップを製作することに成功した。米国のクレメンタイン衛星の成果として公開されている月面反射率画像は実際よりも反射率が高すぎることがわかり、2007年の日本の月探査機のカメラ露光時間の運用計画立案に貢献できる。また、月の玄武岩の反射率スペクトルの詳細な比較により、リモートセンシングとしては世界で初めて、輝石のFe/Mg比の違いによると思われる吸収ピークのシフトを検出することに成功した。洪水玄武岩の中には噴出の過程でFe/Mg比が変化しているものがあることがわかり、月マントル中で部分溶融度が高い層があったことを示唆するデータが得られた。一方、月科学の成果の公開・普及のためのウェブサイトを整備した。本サイトでは、本研究課題で得られた成果から公表可能になったもの、および大阪大学屋上に整備した観測ドームより得られる新たな情報を順次公開する。そして、2007年の国産月探査計画が終了するまで、月科学の普及のために運用を続ける。
|
Research Products
(1 results)