2004 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルス電子エネルギー損失分光による強レーザー場中分子の状態構造とダイナミクス
Project/Area Number |
16685002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星名 賢之助 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60292827)
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Keywords | パルス電子線 / 連続電子線 / 電子回折 / 強レーザー場 / 電子エネルギー損失 / 光ドレスト状態 / フェムト秒レーザー |
Research Abstract |
平成16年度は、主に、強レーザー場中分子の電子エネルギー損失スペクトルを測定するための、(i)超短パルス電子線位置およびレーザースポット位置の安定化、(ii)連続電子線源の導入を行った。成果を以下にまとめる。 (1)レーザーを集光して得られる直径100μmの強光場と、同じく直径100μmのパルス電子線を時空間的に重ね合わせるために、レーザーおよび電子線スポット位置の安定化を行った。CCDカメラでモニターしたレーザースポット位置をPCに転送したのち、フィードバック信号を可動ミラーホルダーに送るシステムを構築し、スポット位置のシフトを50μm以下に抑えることに成功した。一方、電子線の位置の安定性は、高精度で制御された2枚の100μmのアパーチャーを導入し、これらに通すことにより保証した。以上のシステムにより、強レーザー場中分子からの散乱電子の微弱信号の長時間積算が可能となった。 (2)高分解能エネルギー損失分光システムの構築を目指して、連続電子線源を導入した。走査型電子顕微鏡(SEM)に用いられている高性能連続電子銃(加速電圧25kV,エネルギー幅2eV,最大電流20μA)を組み込んだ電子回折装置を製作した。試験的に金薄膜の電子回折像を測定し、製作した高電圧電源が正常に動作していることを確認した。また、連続分子線中のCO_2分子の電子回折像を測定し、希薄な気体分子に十分適用可能であることを示した。 以上の2つのシステムと電子エネルギーアナライザーを組み合わせることにより、強レーザー場中分子の電子エネルギー損失分光装置を立ち上げる準備が整った。
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