2005 Fiscal Year Annual Research Report
レドックス応答型スイッチング機能を持つ分子導線の開発
Project/Area Number |
16685005
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
西長 亨 首都大学東京, 都市教養学部, 准教授 (30281108)
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Keywords | π共役オリゴマー / ラジカルカチオン / 有機半導体 / 有機電界効果トランジスター |
Research Abstract |
1.両末端をビシクロ[2.2.2]オクテンで保護したターチオフェン1を合成し、化学的な一電子酸化により、室温空気中でも安定なラジカルカチオン塩1^+SbF_6^-塩の単結晶を得ることに成功した。このラジカルカチオン塩は、X線構造解析によって2ユニットずつが互いに中央部で強く相互作用して湾曲したπダイマーを形成することがわかった。-173℃ではπ系の間で最も近いC-C間の距離は2.975Åでsp^2炭素間の距離3.4Åより小さく、この距離は25℃では3.03Åに伸び、湾曲もやや緩和されることがわかった。また400Kにおける固体試料のESR測定では、half-fieldにπダイマーの熱励起三重項状態に由来するシグナルが観測された。 2.チオフェン(T)とフラン(F)の交互オリゴマーの新規合成経路を開拓し、このオリゴマーが対応するオリゴチオフェンに比べ、高いドナー性および溶解性を持つという特徴を示すことを明らかにした。さらに、電界効果トランジスター素子を作製し、transfer line methodにより寄生抵抗の影響を除外した移動度を見積もった結果、より長いTFTFTF6量体やTFTFTTF7量体では、対応するオリゴチオフェン誘導体に比べ、高いドナー性を示すにも関わらず移動度はむしろ低下したが、より短いR-TFTFT-R(R=ethyl, hexyl)では、オリゴチオフェン体に匹敵する移動度を示すことが明らかになった。 3.一電子酸化された状態でシス構造が安定となる3-メチルチオフェン(T')とN-メチルピロール(P')の交互オリゴマーT'P'T'の両末端をフェニル基で保護したものを合成し、そのラジカルカチオン塩が単離可能な程度に安定であり、分子間で相互作用してπダイマーを形成することが分かった。
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