2004 Fiscal Year Annual Research Report
(η^3-ベンジル)パラジウム錯体中間体を経由する新規有機合成反応の開拓
Project/Area Number |
16685011
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑野 良一 九州大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20273477)
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Keywords | (η^3-ベンジル)パラジウム / ベンジルエステル / 活性メチン化合物 / アルキル化 / 有機ホウ素化合物 / 鈴木-宮浦反応 / 分子触媒 |
Research Abstract |
(η^3-ベンジル)パラジウム中間体は多くの有機合成反応の鍵中間体となり得ると期待されてきたが、効率良く発生させる方法が未知だったため、この分野の研究は大きく遅れていた。そのような状況下、申請者等は(η^3-ベンジル)パラジウム中間体を経由して進行すると考えられるベンジルエステル類のベンジル位置換反応の開発に世界で初めて成功した。そこで本研究では、申請者等によって開かれた(η^3-ベンジル)パラジウム中間体が関与する有機合成反応の分野をさらに発展させるべく、様々な求核反応剤によるベンジルエステル類のベンジル位置換反応について検討し、その基質適用範囲を調べた。 1.中性条件下での活性メチン化合物のベンジル化反応 活性メチン化合物のアルキル化にはエノラートを発生させるために塩基の添加が必須であった。そこで、本研究で塩基の添加を必要としないベンジル化の開発を試みたところ、炭酸ベンジルメチルをアルキル化剤として、(アリル)(シクロペンタジエニル)パラジウム、ビス(ジフェニルポスフィノ)フェロセン、1,5-シクロオクタジエンから反応系中で発生した触媒を用いることにより、反応が円滑に進行することを見出した。これにより、マロン酸エステル類、β-ケトエステル類、1,3-ジケトン類、アズラクトン類がベンジル化された。 2.ベンジルエステルと有機ホウ素化合物との交差カップリング 本研究において、パラジウム触媒によるベンジル化反応はハードな有機金属反応剤を求核反応剤とする置換反応にも有用であることを見出した。具体的には、(アリル)塩化パラジウム二量体と1,5-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ペンタンから発生したパラジウム錯体が炭酸ベンジル類とフェニルボロン酸との交差カップリングに高い触媒活性を示すことを見出した。本触媒により、広範囲のジアリールメタン類が自在に合成できる。
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