2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16685013
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
池田 篤志 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (90274505)
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Keywords | 光電変換素子 / ポルフィリン / 交互積層法 / デンドリマー / フラーレン |
Research Abstract |
光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子の開発は、化石燃料に代わる代替エネルギーの必要性から非常に重要な課題の一つとなっている。そのような中、現在の技術では製造に高いコストがかかる無機材料に代わり、より製造コストを下げることが可能な有機材料を用いた光電変換素子の開発が注目されるようになった。その代表的な手法は、金電極やITO電極上に有機化合物を積層し、湿式セルを構築するというものである。本申請課題では湿式セルの電解質に検知したい物質を入れることにより、光電変換素子を利用してセンサーを作製することを目的とする。このようなシステムでは、センサーの大幅な小型化が目指せる。本申請者はすでに色素を交互積層法の利用により積層した光電変換素子の開発に初めて成功した。これらの素子では、電子ドナーとアクセプター間が従来の系のように共有結合でつながれているのではなく、弱い相互作用によって電極上に積層されている。従って、電極からこれらの分子が剥離する問題を常に抱えていた。そこで、今回直鎖状の高分子よりもデンドリマー状の高分子が色素などの固定化相、つまり"ナノボンド"として格段に高い安定性と密着性を有することが示された。さらに、デンドリマーの世代が大きくなるにつれ、光電変換の量子収率が飛躍的に上昇したことから"正のデンドリマー効果"が発現することが明らかとなった。この成果を利用して、今後センサーへの応用につなげられると期待される。
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