2004 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素元素の特性を活かしたチロシンキナーゼ阻害分子の開発
Project/Area Number |
16685017
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
中村 浩之 学習院大学, 理学部, 助教授 (30274434)
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Keywords | EGFR / VEGFR / 酵素阻害剤 / チロシンキナーゼ / ホウ素 / がん治療 |
Research Abstract |
細胞分裂が異常に活発である悪性腫瘍では様々な増殖因子とその受容体が大量に産生されている。本研究では、その中でも近年注目されている上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼについてそのホウ素含有酵素阻害剤の開発を行っている。増殖因子の1つであるEGFがその受容体EGFRと結合すると、EGFR内にある酵素プロテインチロシンキナーゼ(PTK)が活性化され、細胞内に存在するATPを取り込み、増殖シグナルを細胞内に伝達すると考えられている。このEGFR-PTKを標的とする阻害剤がガン治療薬として有効であることから近年精力的に研究されてきており、昨年厚生省が異例の速さで認可した薬剤Iressa^<TM>(AstraZeneca社)はこのEGFR阻害剤として初めて医薬品になったものである。本研究では、このEGFR-PTKに特異的に作用する阻害活性分子の中で、Lavendustin誘導体およびQuinazoline誘導体についてホウ酸導入に成功した。 合成したLavendustin誘導体の中には、EGFRチロシンキナーゼを特異的に阻害するアミノホウ酸化合物と、血管増殖因子受容体(VEGFR)チロシンキナーゼを特異的に阻害するアミノホウ酸化合物を見出した。また、この骨格を元に分子内に水素結合を有する偽環状キナゾリン骨格化合物の合成にも成功した。これらはEGFRチロシンキナーゼを特異的に阻害することがわかったが、イレッサが示す阻害活性ほど高いものは得られ無かった。しかしながらVEGFRチロシンキナーゼに対して特異的に作用することが分かり、現在誘導体合成と構造活性相関について検討している。
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