Research Abstract |
本年度は,研究計画に基づき,以下のような研究を実施し,それぞれ下記の成果を得た. 1.波長可変超短パルス光源と高非線形ファイバを用いたパルス捕捉の基礎特性の実験解析 まず,筆者らが開発した波長可変超短パルス光源を用いて異なる波長の超短パルス光を生成した.そして,複屈折性のある高非線形ファイバに結合し,パルス捕捉を誘起した.この実験において、各種パラメータを変化させたときの出力光の変化を、光スペクトルアナライザと,新たに高感度CCDカメラを用いて構築した高速な周波数分解光ゲート法測定装置を用いて観測し、初期時間差依存性や波長依存性,光強度依存性などを評価した.その結果,150fsの超短パルス光を用いたときには,群速度整合の取れる条件下では,ほぼ100%に近い捕捉効率が得られ,またそのときの捕捉曲線の半値全幅は,約350fsであることが分かった. 2.パルス捕捉現象を用いた超高速全光スイッチングの基礎実験 次に,上記の結果を考慮して,高繰り返しなパルス列に対する全光スイッチングを試みた.超短パルス光源の出力を2つに分岐し,それぞれ波長可変ソリトンパルスを生成し,それぞれの波長と時間差を調整して高繰り返しなパルス列を生成した.そして,それらを高非線形ファイバに結合し,パルス列の中の任意のパルスに対し,パルス捕捉を誘起した. 実験では,繰り返し0.83THzのパルス列に対し,消光比20dB以上の全光スイッチングに成功した.今後,パラメータの最適化を図ることで,より高速な光スイッチングの実現が期待される.
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