Research Abstract |
1.直交偏光パルス捕捉を用いた超高速全光スイッチング まず,研究者が見いだした光ファイバにおける超短パルス光による直交偏光パルス光の捕捉・増幅現象を用いて,高繰り返しのパルス列に対する超高速全光スイッチングを試みた.まず,超短パルスファイバレーザーと偏波保持光ファイバを用いて約1THzの高繰り返し周波数の3連のパルス列を生成した.そして,生成したパルス列を信号パルス列に用い,制御パルスを用いてその中の任意のパルス1ヶを捕捉し,波長をシフトさせた.その結果,150fsの時間幅の超短パルスを用いた実験において,0.84THzの高繰り返しパルス列に対し,25dBという優れた消光比で,超高速な全光スイッチングを行うことができた.又,繰り返し周波数を1THzに上げた時には,消光比10dBで全光スイッチングを行うことができた.パルス捕捉の応答速度は,時間幅150fsの超短パルス光を用いた時で,250fsと見積もられた.実験の結果は,計算結果と良く一致した.又,このスイッチングでは,捕捉した信号パルスを制御パルスのラマン利得で増幅し,更に整形もできることが分かった. 2.パルス捕捉により生成された位相同期パルス対による超短パルス光の生成 パルス捕捉により生成されるパルス対は,相互位相変調によって時間的に安定に重なっており,位相同期が得られることが期待される.位相が同期した複数の多色パルスを用いると,極短パルス光や任意波形のパルス光を生成することができる.今回,パルス捕捉によって生成されたパルス対の自己相関波形を観測し,2波長の121fsの時間幅のパルス対のコヒーレントな重ね合わせによって,時間幅36fsの超短パルス光の生成を安定に観測することができた.今後,数値計算等で,更に特性を調べて行く予定である.
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