2005 Fiscal Year Annual Research Report
超広帯域サブ20フェムト秒深紫外パルス光の間接位相制御と量子状態制御への応用
Project/Area Number |
16686006
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鍋川 康夫 独立行政法人理化学研究所, 緑川レーザー物理工学研究室, 先任研究員 (90344051)
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Keywords | 深紫外 / フェムト秒パルス / 位相制御 / 位相整合 / 分散 |
Research Abstract |
サブ20fSの超短パルスに必要なスペクトル帯域幅を深紫外領域で確保するための広帯域和周波混合を前年度に行ったが、これに伴う高次角度分散の補償及び、チャープの補償を行った。 高次角度分散を測定するためのイメージ反転型マッハ・ツェンダー干渉計を開発し、これによってプリズムのみで角度分散を補償した場合とプリズムと回折格子の組合せで高次角度分散を補償した場合の角度分散を測定した。その結果、プリズムのみでは0.005度以上の角度のずれが250~261nmの波長範囲で残っていたが、プリズムと回折格子の組合せの場合には0.001度以下にこれを抑える事ができた。前年度の成果として得られた高次角度分散と高次のパルスフロントの歪みを関係付ける理論式から、残った角度分散はパルスフロントの歪みに殆ど影響を与えないという事が結論付けられた。 角度分散補償を行った深紫外パルス光のチャープは基本波のチタンサファイアレーザー光と遅延を変えながら差周波混合を行う事により測定された。得られた差周波光の遅延に対するスペクトルの変化の仕方から、チャープ量は8.2×10^<-27>s^2と見積られ、パルス幅は約3psに伸びている事が分かった。これを補償するため、石英のプリズム対を用いた上で同様の測定を行った所、パルス幅は約170fsまで圧縮する事ができた。 パルス幅をさらに縮めるために、基本波の位相制御を行った。紫外パルス光の位相を測定するための新たな装置(紫外光用SPIDER)を開発し、これにより位相が基本波から和周波へ移行する事を確認した。不要なスペクトル位相の歪みを基本波の位相制御によって取り除く事により、ほぼフーリエ限界に近い20fsの超短パルス深紫外光を得た。さらに基本波の位相に変調をかける事によって、深紫外光に変調をかけられる事も実証した。
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