2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ秒パルスプラズマによる高効率な化学活性場の生成
Project/Area Number |
16686018
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
浪平 隆男 熊本大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (40315289)
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Keywords | ナノ秒 / パルスプラズマ / 化学活性種 / ラジカル / ストリーマ放電 |
Research Abstract |
平成18年度は、平成16年度及び平成17年度にゲート付ICCDカメラ並びに高時間分解ストリークカメラを用いて観測したサブマイクロ秒(sub-μs)パルスストリーマ放電及びナノ秒(ns)パルスストリーマ放電に関する考察を深めるとともに、制御性に優れた化学活性場の生成可能性追求のために、サブナノ秒(sub-ns)パルス電源の開発をおこなった。以下にその詳細を示す。 サブマイクロ秒及びナノ秒パルスストリーマ放電の形成へ用いたサブマイクロ秒及びナノ秒パルス電源は、それぞれ5kV/ns及び50kV/nsと一桁異なる電圧立ち上がりを有しており、今年度の考察結果よりこの電圧立ち上がりの差異が化学活性種を高効率に生成するプライマリーストリーマヘッドの進展に大きな影響を及ぼしていることが明らかとなった。典型的に、電圧立ち上がり5kV/nsのサブマイクロ秒パルス電圧により形成されるプライマリーストリーマヘッドは、電極間距離38mmを有する同軸円筒電極間における進展期間(30ns)において、電極への印加電圧が徐々に大きくなるため、その進展速度が徐々に増加する加速運動を示し、一方、電圧立ち上がり50kV/nsのナノ秒パルス電圧により形成されるプライマリーストリーマヘッドは、前述同様の電極間における進展期間(6ns)において、電極への印加電圧は一定であるため、その進展速度は等速運動を示した。結果として、電圧立ち上がり5kV/ns及び電圧最大値60kVを有するサブマイクロ秒パルス電圧による形成プライマリーストリーマヘッドの進展速度は、0.1-2.Omm/nsと大きな幅を有するのに対し、電圧立ち上がり50kV/ns及び電圧最大値67kVを有するナノ秒パルス電圧による形成プライマリーストリーマヘッドの進展速度は、6.Omm/nsと一定であった。通常、ストリーマヘッドの進展速度はストリーマヘッド内部に形成される電界の強度と比例関係にあることが知られており、また、ストリーマヘッド内部にて生成される高速電子の有するエネルギーはこの電界強度に依存する。そのため、等速運動をするナノ秒パルス電圧による形成プライマリーストリーマヘッド内部には、加速運動をするサブマイクロ秒パルス電圧による形成プライマリーストリーマヘッドと比較して、より均一なエネルギー分布を有する高速電子郡が形成されていることが示唆される。非熱平衡プラズマによる排ガス処理やオゾン生成へ直接寄与する化学活性種(Nや0、 OH)は、窒素分子や酸素分子、水分子と高速電子との衝突により生成され、その窒素分子や酸素分子、水分子に対する高速電子の衝突断面積は高速電子のエネルギーに大きく依存するため、均一なエネルギーを有する高速電子郡を生成可能なナノ秒パルス電圧による形成プライマリーストリーマヘッドは、生成ラジカル種の制御が可能であると考えられる。また、今年度は、この考察の下、更なる高速電子の高エネルギー化を目指し、サブナノ秒パルス電源の開発もおこなった。
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[Journal Article] Characteristics of DC electric discharges in supercritical carbon dioxide2006
Author(s)
T.Kiyan, A.Uemura, B.C.Roy, T.Namihira, H.Akiyama, T, Morishima, T.Fang, M.Sasaki, M.Goto, M.Hara
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Journal Title
8^<th> International Symposium on Supercritical Fluids (In print)
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