2004 Fiscal Year Annual Research Report
粘弾性ダンパーを援用した高力ボルト接合構造システムの開発
Project/Area Number |
16686034
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
諸岡 繁洋 京都大学, 工学研究科, 講師 (80273522)
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Keywords | ダンパー / 粘弾性体 / 間柱 / 高力ボルト接合 / エネルギー吸収 |
Research Abstract |
1995年の兵庫県南部地震で多数報告された梁フランジの完全溶込み溶接部近傍の脆性破断や模擬実験でも明らかなように、溶接部に発生する欠陥を現場において完全になくすことは非常に困難である。信頼できる鉄骨構造の構造体として、溶接接合に比べてバラツキのない安定した耐力を示す高力ボルト接合を主体とした架構を選択することは必然の流れであると考えられる。しかしながらこのような架構は、構造全体としてのコストが溶接接合構造に比べて高いなどの理由により、普及していないと考えられる。これは、柱梁接合部に高力ボルト接合を採用するためには柱をH形断面とする必要があり、このH形断面柱を用いた構造では、弱軸方向の剛性・耐力の低さを強軸方向でカバーする必要があるため、角形鋼管柱・H形断面梁ラーメン構造に比べて鋼材重量がかなり増加することが原因である。本構造のコストを低減するためには、設計用地震荷重を小さくすればよく、これは構造物の減衰を増大させることによって可能となる。 本研究では、設計用地震荷重を小さくする目的で2種類の間柱型粘弾性ダンパーを提案した。1つは2本のH形鋼を粘弾性体で一体化した形式(Type A)であり、もう1つはCT形鋼と鋼板を高力ボルトで接合し粘弾性体を挟む形式(Type B)である。何れの形式も、上下梁フランジにCT型鋼でピン接合し、地震時には粘弾性体生じるせん断力によりエネルギー吸収を行う。Type Aに比べ、Type Bは粘弾性体の貼付面積を大きくすることができるが、間柱鋼材の剛性が低いという特徴がある。本研究では、これらダンパーの減衰性能に関する理論的検証を進めるとともに、想定される性能が発揮されるかどうかを動的実験により確認した。その結果、提案したこれらのダンパーは想定した通りの性能をほぼ発揮することと、間柱鋼材を剛として扱って良いこと、梁との接合部はピンとして挙動していることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)