2004 Fiscal Year Annual Research Report
二重屋根採冷システムとアクティブ冷房の複合に関する研究
Project/Area Number |
16686036
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 達 福岡工業大学, 社会環境学部, 講師 (50341475)
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Keywords | 二重屋根 / 採冷 / 涼房 / 蒸発冷却 / 蓄冷 |
Research Abstract |
今年度は、二重屋根採冷システムと躯体蓄冷・対流式冷房とを複合した場合における涼房効果を定量的に明らかにするために、試験家屋を用いた実験を行なった。 試験家屋は、巾・奥行きともに2,730mm、高さ5,000mm(天井高2,520〜3,340mm)の木造である。二重屋根には、天井裏面における蒸発冷却のために置き屋根と天井の間の設けた蒸発冷却用中空層と、夜間実効放射によって予冷した外気を取り込むために置き屋根内部に設けた予冷用中空層とがあり、屋根は厚さ75mm、壁は厚さ50mmのポリスチレンフォームで断熱されている。壁4面と床には、厚さ40mmのコンクリートパネルを蓄冷のために設置できるようにガイドレールがついている。実験では、南窓の屋外側には葦簾を立てかけ日射遮蔽を行なうともに、8:00〜翌6:00には予冷用中空層を通過して外気温より少し低温になった外気を換気扇で室内に取り込み、また、0:00から4時間おきに4分ずつ約4l/minの水道水を散布した。 実験を行なった結果、以下のことが明らかになった。 1)コンクリートパネルを設置していない「日除け+夜間換気」の実験では、室温が26〜29℃になり、外気温より最大で5℃低くなった。天井表面温度は25〜27℃、周壁平均温度は26〜29℃になった。裏面での蒸発冷却のため天井のみ室温より低温になった。 2)コンクリートパネルを設置した「日除け+蓄冷」の実験では、室温が24〜28℃になり、外気温より最大で6℃低くなった。天井表面温度は23〜27℃、床表面温度は24〜26℃になった。床・壁に設けたコンクリートパネルが蓄冷し表面温度が低く保たれため、周壁平均温度は24〜27℃になった。 3)「日除け+蓄冷」の条件にさらに設定温度27℃での冷房を加えた「日除け+蓄冷+27℃冷房」の実験では、室温が24〜27℃になり、エアコンの稼動時間は冷房時間180分中27分になった。許容できる室温の上限が27℃であれば、少ない電力使用量で快適な熱環境の調整が可能であることが確認できた。 4)「日除け+蓄冷」の条件にさらに内部発熱を200W加えた「日除け+蓄冷+内部発熱」の実験では、室温が25〜28℃になり、外気温より最大で3℃低くなった。周壁平均濃度は26〜27℃になった。内部発熱が追加されても躯体蓄冷の効果はほとんど減少しなかった。
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