Research Abstract |
本年度は,以下の3つの研究成果を得た. (1)活性窒素支援蒸着法による窒化インジウム薄膜の堆積:平成16年度に,設備備品として導入した活性窒素源および真空チャンバーを用いて,活性窒素支援蒸着法による,多結晶窒化インジウム薄膜の堆積に成功した.具体的には,活性窒素源と真空チャンバーを隔てるメッシュ板を改良し,より多くの活性窒素を基板上へ照射できるようにすることで,蒸着インジウムの十分な窒化が得られた.そこで,成膜中のチャンバー圧力依存性を調査したところ,0.2Paで多結晶窒化インジウムの堆積が確認できた.さらに,基板をインジウム流束に対して斜めに設置して堆積を行ったところ,微絨毛状の微細構造が形成されていた.従来使用していた,反応性イオンプレーティング法では,0.3Paが多結晶窒化インジウム堆積の下限値であったので,活性窒素支援蒸着法を用いて,堆積圧力を低下させるという,本研究の目的の一つが達成された. (2)斜め堆積反応性スパッタリング法により作製した,微絨毛状構造化窒化インジウム薄膜を用いて,エレクトロクロミック反応における応答特性のモデル化と,その検証を行った.その結果,微細構造化窒化インジウムにおける色変化は,分極直後には,膜表面近傍における電気二重層の形成が,引き続いて,ナノコラム間のギャップにおける細孔内拡散が,それぞれ律速となっていることがわかった. (3)斜め堆積反応性イオンプレーティング法において,インジウムとガリウムの2元蒸発源を用いることにより,任意のインジウム/ガリウム組成の窒化インジウムガリウム薄膜を堆積することに成功した.従来,他の手法で報告されているのと同様,組成に従って連続的に格子定数および光学ギャップが変化することが確認された.
|