2005 Fiscal Year Annual Research Report
オーロラPLD法による強誘電体/強磁性体積層薄膜の300℃以下結晶化とメモリ応用
Project/Area Number |
16686040
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
脇谷 尚樹 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40251623)
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Keywords | ダイナミックオーロラ PLD / 電磁石 / PZT / N_2O / 低温結晶化 |
Research Abstract |
平成17年度は (1)2000Gの最高磁場を実現するための新しい『ダイナミックオーロラPLD装置』を完成させ (2)磁場中で成膜することにより、400℃以下という低温でPb(Zr,Ti)O_3(PZT)の結晶化に成功するとともに、30.5μC/cm^2という高い残留分極を実現することに成功した。 作製したダイナミックオーロラPLD装置を用いて、Pt/PZT/SrTiO_3/Pt/CeO_2/Si構造のMIMキャパシタを作製した。CeO_2はSi基板上に低温で高い結晶性を有する酸化物層を形成するために導入したが、その成膜温度は300℃とした。磁場を印加しない場合にはCeO_2の結晶性は低いのに対して、2000Gの磁場を印加することにより、結晶性が著しく向上した。Pt層はRFスパッタリング法で作製した。SrTiO_3はPZTを低温で結晶化させるためのシード層として導入したが、SrTiO_3の場合には、2000Gの磁場印加によりTi過剰の組成の膜となることが明らかになった。そこで、ターゲット組成をTi/(Sr+Ti)=0.45に変化させたところ、化学量論組成のSrTiO_3薄膜が得られた。しかしながら、必ずしも得られたSrTiO_3薄膜の結晶性が高くなかったため、成膜時の雰囲気をO_2からN_2Oに変更したところ、高結晶性のSrTiO_3薄膜が得られることが明らかになった。なぜ雰囲気をO_2からN_2Oに変更することによって結晶性が向上するのかを調べるために、購入したマルチチャンネル検出器でプルーム中の各元素の状態を調査した。その結果、磁場を印加しない場合には主に中性の原子のピークが弱く観測されたのに対して、磁場を印加するとO_2中での成膜ではイオン化したSrとTiの発光ピークが観察されたのに対して、N_2O中ではSr,Tiに加えてイオン化した酸素のピークが鮮明に観測された。このことは、N_2O雰囲気で磁場中で成膜を行うと、各元素のイオン、特に酸素イオンの活性が高くなって、高エネルギー状態となり、このために400℃という低温でSrTiO_3が結晶化したものと考えられた。 このようにして作製したSrTiO_3層の上にPZTの成膜をN_2O雰囲気下で2000Gの磁場を印加して試みた。その結果、高い結晶性を有するPZT薄膜が400℃という低温で結晶化した。この膜は低温成膜にもかかわらず、30.5μC/cm^2という高い残留分極を有していた。
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Research Products
(4 results)