2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16686041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 雅英 京都大学, 化学研究所, 助教授 (20288559)
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Keywords | シロキサン / 低温溶融性 / ガラス / NMR / 有機-無機ハイブリッド |
Research Abstract |
シリカガラスに代表される無機ガラスあるいは有機修飾シロキサン等のハイブリッドガラスは優れた光透過特性と成形加工性のために光情報処理デバイス用材料として精力的に研究されている。しかしながら、長周期構造の欠如によりガラスの構造が完全に解明されているとは言い難い。本研究では特にシロキサン主鎖を有する無機・ハイブリッド系ガラス材料の構造と熱的特性の関連を詳細に解明することを目的とする。特に、分子の再安定配置とガラス中での実際の分子構造の違いに起因する不安定構造の解明に重点を置き、自由体積の制御による熱膨張あるいは分子構造制御による熱流動特性の設計を目指している。ダイナミックNMRにより分子の連結性を解明し、熱物性の積極制御を目指す。研究初年度である平成16年度は、有機修飾シロキサンガラスおよび有機修飾ケイ酸リン酸塩ガラスの主鎖の構造と熱特性の関係を中心に解明を行った。 ある種の有機修飾シロキサン材料は、主鎖に強固なシロキサン骨格を持つにもかかわらず100℃程度の低温で熱軟化特性を示す。すなわち、主鎖構造と熱特性が密接に結びついており、分子構造制御により熱特性を積極的に制御することが可能である。主鎖の構造をNMRを用いて解明した結果、フェニル修飾シロキサン材料では分子の末端はほとんど存在せず、非常に高い重合度を持つことが分かった。動的粘弾性測定結果と合わせて考察することにより、自己終端したほぼ完全なシロキサン骨格に夜数千から数万程度の分子量を持つ分子が緩やかに絡み合うことにより低温溶融性が発現しているモデルを提唱した。低温溶融性の材料は社会的ニーズが非常に高く、今後の材料設計により低温溶融ガラス代替材料となる可能性がある。
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