2004 Fiscal Year Annual Research Report
マルテンサイト変態を必要としないD0_3型Fe系超弾性合金の合金設計
Project/Area Number |
16686043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 弘行 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 助教授 (60294021)
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Keywords | 超弾性 / 金属間化合物 / 転位 / 逆位相境界 / 形状記憶合金 / 電子顕微鏡 / Fe / Al |
Research Abstract |
DO_3型構造を有するFe_3Al単結晶では、規則格子特有の超部分転位が除荷時に逆位相境界(APB)に引き戻されることで、マルテンサイト変態に因らず巨大な超弾性が発現する。本研究では、二元系、あるいは三元系DO_3型Fe-Al-X(X=Ga, Ge, Si)超弾性合金について、その特性が最適となる合金組成の探索を行った。その結果、Fe_3Al単結晶のみならずFe_3Ga単結晶でも巨大な超弾性が発現することを確認するとともに、その性能はFe_3Alよりも優れることを明らかとした。また、その超弾性は規則化過程に強く依存し、B2相ならびにL1_2相へと規則化した試料では形状回復率が低いのに対して、DO_3構造に規則化したそれでは5%の負荷歪がほぼ完全に回復した。一方、Fe_3GeならびにFe_3Si単結晶では、現時点で超弾性の発現は確認されていない。さらに、Fe_3Alに対してGa、Ge、Siを添加した単結晶について超弾性挙動を調査したところ、Ge、Siの添加は特性を劣化させるが、Gaの添加は特性改善に極めて有効であることが明らかとなった。その原因について、GeならびにSiを添加すると、超部分転位の運動が固溶体硬化により極めて困難となる。また、Fe_3Alで超弾性を発現させるためには規則ドメイン構造を微細化することが不可欠であるが、GeならびにSiの添加はドメインサイズを著しく増加させ、このことが超弾性特性の低下に繋がる。一方、Gaを添加した場合、規則ドメインが微細に維持されると共に、形状回復の駆動力であるAPBの表面張力が増加することで、特性が飛躍的に向上する。さらに、その最適添加量を知る上で、本助成金で購入した超微小押し込み硬さ試験機の利用が有効であることがわかった。
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Research Products
(3 results)