2005 Fiscal Year Annual Research Report
マルテンサイト変態を必要としないD0_3型Fe系超弾性合金の合金設計
Project/Area Number |
16686043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 弘行 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 助教授 (60294021)
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Keywords | 超弾性 / 金属間化合物 / 転位 / 逆位相境界 / 形状記憶合金 / 電子顕微鏡 / Fe / Al |
Research Abstract |
転位運動を基調としたD0_3型鉄系化合物(Fe_3Al, Fe_3Ga, Fe_3Si, Fe_3Ge)の超弾性について、本年度は、(1)非平衡プロセスによるD0_3相の発達過程、および(2)準安定D0_3相の超弾性挙動について調査を行った。Fe_3Alに急冷等の非平衡プロセスを施すと、D0_3相への規則化が抑制され超弾性は発現しない。Fe_3AlにGa、Ge、Siを添加した場合も同様である。一方、化学量論組成近傍の組成を有するFe_3Gaでは、本来580℃以下で(α+Ll_2)2相が発達するはずであるが、不規則α相を急冷した後500〜580℃で焼鈍すると、焼鈍時間が10時間程度までであれば準安定D0_3相が発達した。また、Gaリッチの組成では、不規則α単相領域から水焼入れしただけで規則度の高いD0_3相が得られた。これら準安定D0_3相でも超弾性の発現が確認され、その形状回復率は化学量論組成に近づくほど増加した。しかしながら、さらに長時間の焼鈍を行うと平衡相であるLl_2相が析出し、このLl_2相が転位の運動をピンニングすると共に、マトリックスのGa濃度を低下させることで回復率が低下した。また、準安定D0_3相が不規則α相と共存する条件(23at.%Ga、620℃)では回復率が著しく低下した。超弾性を示す場合、1/4<111>超部分転位が逆位相境界(APB)を引きずりながら2本ペアで運動していることが確認された。このAPBが除荷時に超部分転位を後方へ引き戻すことで形状が回復する。一方、Fe_3SiならびにFe_3Geを不規則α相あるいはB2相から水焼入れした場合でも規則度の高いD0_3相が発達する。しかしながら、この準安定D0_3相は超弾性を示さない。以上のように、本研究の遂行によって、D0_3型鉄系化合物における超弾性発現のための最適合金組成、熱処理条件等が明確となった。
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Research Products
(4 results)