2005 Fiscal Year Annual Research Report
精子走化性における誘引物質の鞭毛運動制御機構の解明
Project/Area Number |
16687003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 学 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (60301785)
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Keywords | 受精 / 精子 / 卵 / 鞭毛運動 / 精子誘引物質 / ユウレイボヤ / 走化性 / シグナル伝達機構 |
Research Abstract |
ユウレイボヤを主な材料として、精子活性化・誘引物質(SAAF)がもたらす精子運動活性化と走化性反応の分子機構を調べるとともに、ヒト・マウス等の哺乳類精子が卵及び精漿由来成分にどの程度に運動調節を受けるか、基礎的な研究を行っている。 1)SAAF受容体の同定: 昨年に引き続き、HEK293培養細胞を用いた強制発現系を用いて、SAAFの結合を指標にしたSAAF受容体のfunctional cloningを試みたが、陽性なクローンは得られなかった。また、SAAFアフィニティカラムを作成し、精子細胞膜画分のタンパク質より精製を試みている。 2)SAAFによる精子鞭毛運動調節機構の解析: 昨年組み立てた精子運動解析装置をさらに改良し、LEDストロボを用いた装置とした。これにより毎秒200コマのレートで良好に精子運動中における鞭毛波形の解析を可能とした。この装置を用い、Na^+/Ca^<2+> exchanger(NCX)の関与についての解析を行った。その結果、NCXの阻害剤が著しく精子の活性化及び走化性を抑制する結果が得られ、精子活性化及び走化性にNCXが関与することを明らかとした。また、運動中精子のイメージングを行う蛍光顕微鏡装置の開発に成功し、走化性運動時における鞭毛内カルシウムの測定を開始した。 3)哺乳類における精子鞭毛運動調節機構の解析: 本年度は、ヒトに加えてマウス精嚢腺由来物質による精子運動への影響を検討した。マウス精嚢腺由来タンパク質であるセメノクロチンが精子の受精能を阻害することがわかり、古くから現象が知られていたものの、実体がわかっていなかった精子受精能破壊因子がセメノクロチンであることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)