2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞質型チロシンホスファターゼShp2が発する新規細胞内シグナルの同定と解析
Project/Area Number |
16687005
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 雅司 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (90304055)
|
Keywords | 細胞増殖因子 / 細胞外マトリックス / チロシンキナーゼ / チロシンホスファターゼ / 受容体型チロシンキナーゼ / Shp2 / 繊維芽細胞増殖因子 / インテグリン |
Research Abstract |
本研究では、細胞増殖因子の受容体および細胞外マトリックスの受容体として働くインテグリンの細胞内シグナル伝達経路における細胞質型チロシンホスファターゼShp2の役割を明らかにすることを目標にしている。今回、繊維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の細胞内シグナルに着目し、Shp2が結合するドッキング蛋白質であるFRS2α(FGF receptor substrate α)を介した負の制御機構の解析を行った。FRS2αはそれに結合するShp2を介してMAPK(mitogen-activated protein kinase)を活性化することが知られている。活性化を受けたMAPKはFRS2αのトレオニン残基をリン酸化することによりFRS2αのチロシンリン酸化を抑制する。その結果、MAPKはShp2のFRS2αへの結合量を低下させ、FRS2αによる細胞内シグナルを減弱させる。今回の研究により、MAPKはFRS2αに直接強く結合することによりFRS2αをリン酸化することを見出した。この結合は、MAPK上の「Docking Groove」とFRS2α上の「f-X-f」モチーフ間で起こっていた。さらに、MAPKが結合することが出来ないFRS2α変異体を用いた実験において、そのFRS2αに結合しているGab1やSosがMAPKによるリン酸化を受けないことを見出した。MAPKによるGab1やSosのリン酸化も細胞内シグナルの負の制御に関わっている。この結果は、FRS2αがMAPKの足場として働くことによりFGFR細胞内シグナルの負の制御に関与していることを示している。
|