2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロクロマチン構造の確立と維持に関わる分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
16687009
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中山 潤一 独立行政法人理化学研究所, クロマチン動態研究チーム, チームリーダー (60373338)
|
Keywords | ヘテロクロマチン / RNAi / 分裂酵母 |
Research Abstract |
1.二本鎖RNAの誘導によって起こるクロマチン構造変化の解析 分裂酵母では、RNAiに関与する因子が高次クロマチン構造の形成に関わるが、実際に配列特異的な短い二本鎖RNAを発現することで、特定の染色体領域の構造変化が引き起こされるかについては、不明な点が多く残されている。本研究では、二本差RNAの発現によって効率よく遺伝子の発現抑制が起きるか、その系の構築も含めて解析を進めた。栄養要求性によって発現の抑制が観察できるマーカー遺伝子(ura4^+,ade6^+)に対して、ヘアピン構造を形成するようにデザインした様々な長さのRNAを、強さや誘導条件の異なるプロモーターから発現させその効果の検討を行ったが、これまでに有意な遺伝子発現の抑制は認められていない。現在、標的とする領域やヘアピン型RNAの構造等、種々の条件を変えることで、系の改良を検討すると共に、後述するRNAi制御因子との関係も含めて解析を進める予定である。 2.RNAを介したクロマチン構造変換に必要な新規因子の単離 分裂酵母では、RNAiに関わる因子としてAgo1,Dcr1,Rdp1が単離されているが、クロマチンの構造変換に関わるこれらの因子の機能についての詳細は明らかにされていない。RNAを介したクロマチン構造変化の機構を解明する事を目的として、上記の因子と相互作用する因子の単離を生化学的に進めるとともに、他の生物種でRNAiに関与すると示唆されている因子の解析も併せて行った。その結果、進化的に良く保存された分裂酵母の新規RNA分解酵素が、ヘテロクロマチンの構造維持に重要な働きをしている事を発見した。実際にこの酵素は二本差RNAの分解に関与し、細胞内の二本鎖RNAの代謝に深く関わる酵素であることが明らかになった。現在、上述の因子の相互作用因子の精製と共に、このRNA分解酵素のさらなる詳細な解析を進めている。
|